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第9回ものづくりワールド名古屋

 

神戸製鋼所、米社に端子コネクタ用すずめっき技術のライセンス供与

 神戸製鋼所( http://www.kobelco.co.jp/ )は、米国の大手伸銅メーカーであるAurubis Buffalo Inc.社に、同社が独自開発したすずめっき技術「新リフローめっき」の技術供与を行うことを決定し、同社とライセンス契約を締結したと発表した。

 自動車に使用される様々な部品と部品を接続するコネクタには、銅合金材を成形した端子が使用され、電気的な接続信頼性を確保するためリフローすずめっきなどの表面処理が施される。これらのコネクタは、近年の自動車における電装化の進展によりその数自体が増加している。さらに、コネクタあたりの端子数の増加(多極化)が進むため、使用されるリフローすずめっき付き銅合金材の需要はますます増加するという。

 一方で、自動車の組み立て工程における接続工程は手作業が多いことから、作業者の負荷軽減のため、コネクタの挿入力低減を強く求められていた。同技術は、軟質なすずめっきの表面に硬い銅すず合金を分散させることで、めっき表面の摩擦係数を低下させるもの。従来のリフローすずめっきと比較して、端子コネクタの挿入力を約3割低減させることから、作業負荷低減や生産性向上の観点で高く評価され、2009年より国内の自動車メーカーを中心に順次採用が進んでいる。低摩擦係数に加えて、高温や摺動環境下での接触信頼性も兼備しているため、エンジンルーム内の端子にも多く採用されている。

めっき断面のイメージ図めっき断面のイメージ図

 同技術は、2014年9月にドイツの大手伸銅メーカーであるWieland-Werke AG社へライセンス供与している。

※新リフローめっき・・・リフローとは、すずめっき後、熱処理を施すめっき技術のこと。すずめっきの欠点として、処理後の表面にウィスカーと呼ばれる結晶が発生(成長)し、稀に端子間を短絡(ショート)させる場合があり、このウィスカーを抑制するためにめっき表面の皮膜を一度溶融させる熱処理を行うもの。同社の「新リフローめっき」は、軟質なすずめっきの表面に硬い銅すず合金を部分的に露出させることで、挿入力低減効果を実現させたもの。また、Ni下地めっきを施すことで、優れた高温信頼性も実現している。