産総研、新しいインクジェット印刷法による有機半導体単結晶薄膜の製造技術を開発

 産業技術総合研究所は、新たなインクジェット印刷法を用いて、シート上の任意の位置に有機半導体単結晶薄膜を作製する技術を開発した。

 この技術により、薄型ディスプレーなどの大面積電子機器に必須である薄膜トランジスタ(TFT)の性能を従来の印刷法による有機TFTに比べて100倍以上向上させることができた。さらに、薄膜の単結晶性を大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)の施設を用いて確認できた。

 印刷法による電子デバイス製造技術(プリンタブルエレクトロニクス技術)は、軽い・薄い・落としても壊れないという特徴を備えた情報通信端末機器(フレキシブルデバイス)の実現や、それらの省資源・省エネルギー製造を可能にする近未来技術として期待されている。今回、有機半導体を溶解させたインクと有機半導体の結晶化を促すインクをミクロ液滴として交互に印刷する新手法(ダブルショットインクジェット印刷法)により、分子レベルで平坦な有機半導体単結晶薄膜の作製に成功した。
新しいインクジェット印刷法で各位置に形成した有機半導体単結晶薄膜新しいインクジェット印刷法で各位置に形成した有機半導体単結晶薄膜
 この技術により作製した有機TFTは、移動度が最高で31.3 cm2/Vsと現在の液晶ディスプレーに用いられているアモルファスシリコンTFTを大幅に超える性能を示した。また、従来の印刷法で作製した有機TFTと比較すると100倍以上の性能であり、有機TFTとしては世界最高性能を示した。この技術は、フレキシブルデバイスの研究開発を大きく加速すると期待されるという。

 今後は、印刷条件・半導体材料・デバイス構造を一層最適化し、性能と安定性の向上を図る。さらに、金属配線、電極などの印刷法による作製技術と組み合わせて、全印刷による高性能アクティブバックプレーンの試作に取り組む。