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第9回ものづくりワールド名古屋

 

表面技術協会、高機能トライボ表面プロセス部会 第5回例会を開催

 表面技術協会の高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:名古屋大学・梅原徳次氏)は8月5日、名古屋市天白区の名城大学 天白キャンパスで「第5回例会」を開催した。

 同部会は自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として、2014年に設立された。

 第5回例会となる今回は、以下の講演があった。

・「トライボ現象解析のための表面分析技術」高橋直子氏(豊田中央研究所)…炭化水素の再吸着がない真空中UV光クリーニングのMo-DTC摺動面の分析への応用や、表面シラノール基を分析するための誘導体化XPS法のDLC-Siの低摩擦要因解析への応用、詳細な状態解析が可能なNEXAFSのDLC膜の硬さ-sp2構造解析への適用、分析深さが深くエネルギー分解能が高いHAXPESのMo-DTC摺動面分析への適用などについて優位性を紹介した。

・「DLCおよび硬質膜の密着性に関する有限要素解析」早川邦夫氏(静岡大学)…コーティング工具の被膜はく離などに対する基材-被膜の密着性評価を目的に、スクラッチ試験をモデル化した有限要素法解析によって界面の応力分布を示したほか、2段階のズーミング解析によって微小凹凸を有する被膜-基材界面をモデル化し、界面応力への界面形状の影響を調べた結果を報告した。

・「硬質薄膜の密着性に影響する、金型材料の選択と熱処理」野村博郎氏(松山技研)…コーティング金型の長寿命化や高機能化、高精度化では、PVD処理温度ゾーンで母材硬さが軟化しない材料の選択や、密着性を改善する成分・硬さを持つ材料・熱処理の選択が重要と述べ、良品を生産できる高機能・高精度・長寿命金型を作るには、金型材料、機械加工、熱処理、コーティングの最適な組み合わせを選択する必要があると総括した。

・「冷間鍛造におけるDLC-Si被覆工具と加工油の組合せ潤滑効果」北村憲彦氏(名古屋工業大学)…厳しい潤滑条件の冷間鍛造において工具に被覆したDLC-Si被膜が硬くて摩耗しにくく、被加工材の金属が凝着しにくいことを確認する一方、潤滑油の流体効果、摩擦低減のための油性膜、焼付き防止につながる被加工材上の反応被膜の効果を確認。工具表面被膜と潤滑油の油性材との相互作用によって、極めて高い潤滑効果が得られるとした。

表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会「第5回例会」のもよう表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会「第5回例会」のもよう