神奈川県産業技術センターなど、平成28年度技術交流会で熱処理・DLCコーティング技術フォーラム開催

 神奈川県産業技術センターと神奈川県産業技術交流協会は10月26日~28日の三日間、神奈川・海老名市下今泉の同センターで「平成28年度 神奈川県ものづくり技術交流会」を開催し、27日に「熱処理技術フォーラム」、「DLCコーティング技術フォーラム」が行われた。

 熱処理技術フォーラムでは、パーカー熱処理工業の石塚はる菜氏が「塩浴軟窒化処理した鋼の耐溶損性に及ぼす表面組織の影響」と題して講演。アルミダイカスト金型の長寿命化を図るための耐溶損性に優れた塩浴軟窒化処理について発表した。同処理は、塩浴にカリウムやナトリウムイオンに加えリチウムイオンを含有させ、窒化層と同時に最表面にリチウム含有鉄複合酸化層(Li-Fe酸化層)を形成させる。これを試験片(SKD61)に施し、表面における溶損挙動に及ぼす影響について調べた。実験では、リチウムイオンを含有せずに後酸化処理を行った試験片と比較を行い、Li-Fe酸化層は後酸化処理によって得られる鉄酸化層(Fe3O4)層よりも厚く緻密であり、溶湯との反応抑制効果が強いことが分かったと報告した。

 また当日は、同センター 機械・材料技術部 高木眞一氏が熱処理・表面処理技術研究会の活動報告として「窒化鋼材の疲労強度特性に及ぼす表面化合物層の影響」、「工具鋼の疲労強度特性に及ぼすセラミックコーティングの影響」の2件について報告したほか、横浜国立大学 定森友也氏「窒化処理を施した構造用鋼SCM435の転がり疲労特性評価」、横浜国立大学 笛木隆太郎氏「溶接止端部にき裂状表面欠陥を有する溶接継手の疲労限度向上と欠陥の無害化―ニードルピーニングの効果―」の講演が行われた。

 DLCコーティング技術フォーラムでは、日本ピストンリング 技術開発部の上山秀明氏が「ピストンリングへのDLC膜の適用例」で講演。ピストンリングにおいてシリンダと接触する面(外周面)の表面処理には、耐摩耗性、耐スカッフ性、耐食性、耐熱性などが求められており、加えて近年では自動車の燃費改善のために低摩擦特性を要求されていると解説。同社では、ピストンリング外周面に硬質クロムめっきや窒化処理、溶射、クロムナイトライド系被膜などの表面処理を行ってきたが、2010年代からアーク式イオンプレーティングによる水素フリーDLC膜を成膜しており、これにより混合潤滑域における低摩擦化、耐摩耗性向上、耐スカッフ性向上を図ったことなどを報告した。

 同フォーラムでは、このほか慶應義塾大学 鈴木哲也教授「大気圧プラズマ法による炭素系およびシリカ系薄膜の開発」、東京都立産業技術研究センター 川口雅弘氏「DLC分析評価の現状と展望」、同センター 機械・材料技術部 渡邊敏行氏「大気圧プラズマCVD法で非晶質炭素膜を被覆したポリエチレンナフタレートフィルムの耐候性評価」、同 吉田健太郎氏「市販油剤を用いた潤滑化におけるDLC膜の摩擦摩耗特性」、同 堀内崇弘氏「硬質薄膜の密着性評価についての検討」の講演が行われた。

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