トライボコーティング技術研究会、28年度第4回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会は12月2日、東京・青海の東京都立産業技術研究センターで、「平成28年度第4回研究会」を開催した。

 当日は、大森 整会長の開会挨拶(理化学研究所)に続いて以下のとおり講演がなされた。

「セラミックス材へのイオン注入効果」寺西義一氏(東京都立産業技術研究センター)…多孔質ハイドロキシアパタイト(HA)セラミック材料表面にイオンを注入することによって骨成分の膜形成にどのような影響があるかを調べ、その膜形成制御の可能性を検証した。Arイオン、Cイオンともに、アパタイト表面にある濃度以上を注入することで、膜生成を抑制することを確認、イオン注入によってHA材補油面の骨形成の積極的な制御の可能性を示した。Caイオンの注入量に比例して、膜形成速度を向上させる可能性を示した。

「薄膜の機械特性評価におけるナノインデンターの応用事例」江川正利氏(東陽テクニカ)…ナノインデンターの測定例として、硬度ヤング率測定ではISO 14577に基づく基本測定法(点分析)から、深さ方向のプロファイル測定(線分析)、面内のマッピング(面分析)、立体構造のマッピング(空間分析)などを紹介した。また、応用事例として、DLCのスクラッチ試験や高荷重押込みによるlow-k膜の剥がれ評価、密度の異なるポリエチレンの動的粘弾性評価、加熱ステージを用いたTiの高温測定など、各種の機械特性評価への応用事例を紹介した。

「核融合炉用パルススイッチ技術の応用による医療用DLC成膜に最適なHiPIMS電源の開発」黒岩雅英氏(東京電子)…高密度のプラズマを生成し高硬度・ドロップレットフリー・高平滑性・高密度・高密着性のDLC膜を成膜できるHiPIMS(大電力パルスマグネトロンスパッタリング)技術について解説。独自パルス技術を応用しバイポーラパルス技術を組み合わせた、よりイオン化率を高められる人工歯根へのDLC成膜用HiPIMS用電源などを紹介した。また、岡山理科大学・中谷達行教授の成膜指導のもとでHiPIMSを用いて医療デバイスに適した高硬度で生体適合性の高いta-C:H膜の開発を目指すプロジェクトについて紹介した。さらにタブレットITO用バリア膜、カメラロール・センサの保護膜(赤外線透過・反射防止膜)などへのHiPIMSの他用途への展開などについて述べた。

 講演に続いて、東京ロボット産業支援プラザの見学会が行われ、都産技研の開発した先導案内ロボットのほか、ロボット開発を支援する3Dプリンティング技術や複合環境振動試験機、路面の摩擦係数や勾配を変えて試験できるテストコース、ロボットの電磁ノイズ対策のためのEMC試験設備などが紹介された。

 次回研究会は来年2月24日、埼玉県和光市の理化学研究所で開催される、「理研シンポジウム:第19回トライボコーティングの現状と将来」として行われる予定。

トライボコーティング技術研究会「平成28年度第4回研究会のもよう」平成28年度第4回研究会のもよう