表面技術協会、高機能トライボ表面プロセス部会 第7回例会を開催

 表面技術協会・高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:名古屋大学・梅原徳次氏)は岐阜大学と共催で9月27日、岐阜県岐阜市の岐阜大学サテライトキャンパス 大講義室において、「高機能トライボ表面プロセス部会 第7回例会」を開催した。

 同部会は自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として、2014年に設立された。

 第7回例会となる今回は、庶務幹事の上坂裕之氏(岐阜大学)による開会挨拶に続いて、塑性加工をテーマに以下の講演が行われた。

・「塑性加工における高機能トライボ表面の役割」王 志剛氏(岐阜大学)…塑性加工における表面テクスチャによる付加価値の創成について、金型表面性状の転写によって感光ドラムの平滑面を創成するなど製品の付加価値を高める事例を紹介した。また、量産用金型に要求される耐焼付き性を改善する金型表面性状制御の事例や、WPC処理などの金型下地処理によるDLC膜など硬質膜の密着性改善の事例、ボンデ皮膜に代わる一液潤滑被膜(塗装膜)の性能に及ぼす湿式ショットブラスト処理など前処理による下地表面性状の影響などについて報じた。また、微視塑性流体潤滑機構や静圧浸透機構といった塑性加工における摩擦法則について広く解説した。

・「塑性加工のための先進表面技術:ナノ構造化DLCコーティングと低温プラズマ窒化」相澤龍彦氏(芝浦工業大学)…金型の耐久性を向上させる目的で、ナノオーダーの低密度DLC層と高密度DLC層を積層させたナノ積層化DLCコーティングを開発。10Nの負荷でもはく離がない、水素含有でも水素フリーと同等の硬さを実現できるといったデータを示したほか、ナノ積層化DLCコーティングの密度や各層の厚さを制御することで、セミドライ・ドライのスタンピング加工にも有用とした。過飽和窒化プロセスとしての400℃以下の低温プラズマ窒化プロセスを適用した、ステンレス型材創成によるモールドプレス金型への応用や、マイクロ塑性加工技術としての有用性を各種の研究事例を通じて示した。

・「皮膜組成が及ぼす摺動特性への影響」庄司辰也氏(日立金属)…自動車部品における材料強度と板厚、金型表面処理や、板金プレス金型における主な損傷部位について解説したほか、皮膜損傷の発生要因を皮膜の酸化(酸化摩耗)、相手材の凝着(凝着摩耗)、異物の噛込み(アブレシブ摩耗)、母材の変形に大別。板金プレス金型に使用される主な皮膜の特性を紹介し、それぞれの皮膜損傷要因における各種の皮膜成分の影響を試験評価、成形面の温度に応じて最適な皮膜組成が存在すると総括した。中でも凝着が発生しにくい、摩耗粉の発生を抑制するといったV含有皮膜は、ホットスタンプや冷間プレスなどにおいて金型寿命の延長が見込まれ、ユーザーでの金型寿命設計が図れる可能性があると言及した。

 今回はまた、初の試みとして、会員企業の技術紹介が以下のとおり行われた。

・「片桐エンジニアリング社のプラズマ技術紹介(EBEP窒化・cBN膜、超高速コーティング、除膜技術など)」山川晃司氏(片桐エンジニアリング)…顧客ニーズに合わせ真空・プラズマ装置を製作する同社の技術開発の取組みとして、電子ビーム励起プラズマ(EBEP処理)技術ではオーステナイトステンレス鋼に高い耐摩耗性と耐食性を付与する低温窒化処理や、母材の7~10倍の硬さを持たせるアルミニウム合金の窒化処理、硬さ40GPa以上ではく離のないcBN膜の形成について紹介した。また、MVPプロセス装置によって、工具に被覆されたTiNやDLCなどの超高速除膜を達成。発光分光計測による除膜エンドポイント検知に成功し、エンドポイントシステム付MVPプロセス装置の構築を実現したことを報告した。

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