パーカー熱処理工業など、第15回表面改質技術研究会を開催

 パーカー熱処理工業( http://www.pnk.co.jp )主催、日本パーカライジング( http://www.parker.co.jp/ )共催、パーカーエス・エヌ工業( http://www.parker-sn.co.jp/ )・日本カニゼン( http://www.kanigen.co.jp/ )協賛の「第15回表面改質技術研究会」が10月13日、東京・丸の内の日本工業倶楽部で開催、約200名が参加した。

挨拶する安部社長: 挨拶する安部社長挨拶する安部社長: 挨拶する安部社長 当日は、パーカー熱処理工業の安部壽士社長が「冒頭に、日本パーカライジンググループを牽引してきた名誉会長 里見菊雄が先月に永眠したことを謹んでご報告申し上げる。生前に賜った皆様のご厚誼に厚く御礼申し上げる。さて、本年も国内外で頻発する大規模な自然災害、隣国の理解に苦しむ暴挙、また経済では保護貿易が台頭、最近ではものづくり企業による不正等、沈痛な状況の中、今週初めにカズオ・イシグロ様のノーベル文学賞受賞のニュースに接し、大変感激しているところだ。昨年まで3年続いた日本人による自然科学系3部野の受賞には至らなかったが、同じ日本出身の者として大いに感激をするところだ。カズオ・イシグロ様は日本人のご両親から生まれ5歳で渡英し、英国国籍となっているが、ノーベル財団による受賞者リストの国籍は出生地で掲載するルールがあり、受賞国は日本となっていると聞いた。本報を聞いて、グローバル化が進展し、多様性ある人間が数多く輩出される現状を鑑みると、納得のいくところだと思った」と開会の挨拶を述べた後、各講演の概要紹介を行い、以下のとおり講演が行われた。

 「SRV®:Hard Facts on Hard Surfaces」Gregor Patzer氏(Optimol Instruments Prüftechnik社)…潤滑剤、基材、被膜の摩擦摩耗特性の評価で業界標準となっている同社の最新型の振動摩擦摩耗試験機SRV5の試験仕様(揺動試験、回転試験)について説明した後、近年摩擦摩耗アプリケーションで市場が増えてきているDLC膜など様々な被膜の開発・比較のためのツールとしてSRVを用いて評価した事例(摩耗摩擦特性からの密着性の評価、摩擦摩耗特性に与える湿度の影響など)を紹介した。また、水素フリー、水素含有、Si含有など各種DLC膜の新しいショート・スクリーニング試験手法と取得した試験データを統計化できる評価ツール「TriboProfiling」について提案。電気接触抵抗によるDLC膜など非電導性膜の摩耗評価やAEによる摩耗メカニズムの分析などについて紹介した。SRVが各種コーティングの摩擦摩耗特性とともに密着性を正確に再現性良く評価できると総括した。

 「表面改質による自動車への応用技術」豊田裕介氏(本田技術研究所)…軽量化や電動化、自動運転、LCA観点でのCO2削減といった自動車を取り巻く環境について説明した後、軽量化材料技術としてのテーラードプロパティとマルチマテリアル対応の表面改質技術や自動運転にも対応するダイナミクス性能向上のための表面改質技術、機構部品のメカロス低減と耐久性向上のための表面改質技術といった方向性を示した。DLC被覆ボールジョイントのフリクション制御によるステアフィールの向上や、MRF(磁性流体)ダンパーの低フリクション化によるダイナミクス性能の向上、ステアリングのVGR化に伴うEPSラックギヤへの積層硬質膜(DLC膜)適用による耐久性(耐摩耗性)の向上、輪郭二段焼入れ表面多層化改質による懸架スプリングの高強度化(軽量化と信頼性向上)など、開発の方向性に沿った応用事例を紹介した。

 「鋼材と工法を組み合わせた表面硬化処理について」吉田 卓氏(新日鐵住金)…同社の鋼材と顧客の工法(熱処理)の融合によって合金を最小化する強度設計について提案した。加工性に優れた冷間鍛造用鋼としては、マイルドアロイでは化学成分は変更せずに、スーパーマイルドアロイでは化学成分を最適化した上で、それぞれ軟質化プロセス(低温圧延による結晶粒微細化+徐冷却によるフェライト分率向上)を適用。また、ニアネットシェイプ鋼では化学成分を調整して硬さや冷間変形抵抗を低減できたことなどを紹介した。高変形能化を図るスーパーフォージプロセスの組み合わせ技術を紹介。部品の高機能化では、高周波焼入鋼のSi添加量を増やすことで高面圧疲労化を図るとともに、課題である切削加工性の改善を、鋼材/工具間の潤滑性を高める特殊元素の添加によって可能にする技術などを紹介した。
第15回表面改質技術研究会のもよう: 第15回表面改質技術研究会のもよう第15回表面改質技術研究会のもよう: 第15回表面改質技術研究会のもよう