メインコンテンツに移動
第9回ものづくりワールド名古屋

 

ASTEC/SURTECH2018など開催、DLCコーティングや表面試験・評価技術が多数集結

 「ASTEC2018 第13回 先端表面技術展・会議」や「SURTECH2018 表面技術要素展」、「nano tech 2018 第17回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など11の展示会が、2月14~16日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催、44437名が来場した。
展示会のもよう展示会のもよう

 ASTECとSURTECHでは、DLCコーティングやセラミックコーティング、めっきなどの表面改質技術、摩擦摩耗試験機やスクラッチ試験機、表面張力・形状・粗さ測定機などの表面試験・評価機器、機能性ナノ薄膜や電磁波シールなどの材料・素材の展示が見られ、各分野における最先端技術の展示を行った。このほか、最先端の3Dプリント関連機器・材料・ソフトウェアが一堂に会する「3D Printing2018」、新しい発想に満ちた材料やそれを応用した部材が集う「新機能性材料展2018」と「3次元表面加飾技術展2018」、日本が誇る高度なプロセス技術が集積する「Printable Electronics2018」など多彩なイベントが同時開催された。これら展示会において表面改質、表面試験・評価関連では以下の出展が見られた。

 ナノテックは、DLC膜を機能別、用途別に分類した「ICFコーティング(真性カーボン膜)」を紹介するとともに、大電力パルススパッタリング(HiPIMS)法によって水素フリーICF膜を660nm/minの超高速で成膜できるRoll to Roll装置を紹介した。同装置は、Roll to Roll、インライン、バッチ式成膜装置に対応が可能。低温プロセスにより電気抵抗の低い膜を形成できることから、フィルム素材や軽金属系部品での耐久性向上などの幅広いニーズに対応する。また、同社では薄膜や材料の機械的特性などの表面分析サービスを行っており、同サービスの豊富な経験を活かしてDLCコーティングの基準片・試験片の販売を行っていることを紹介した。
ナノテック「水素フリーICF膜を成膜できるRoll to Roll装置」ナノテック「水素フリーICF膜を成膜できるRoll to Roll装置」

 ナノフィルムテクノロジーズ ジャパンは、優れた密着性と高い耐摩耗性を実現するFCVA方式による水素フリーDLC膜(ta-C)を紹介した。これらの特徴を活かして採用されているうち、ガラスレンズ成形用金型向けやプリンター部品向け、樹脂製品向け、自動車エンジン部品向けにそれぞれta-C膜を施したサンプルを展示。自動車部品向けでは10μm以上の厚膜が作成可能で高品質化に加え長寿命化による高付加価値化をアピールした。
ナノフィルムテクノロジーズ ジャパン「ta-C膜を施した自動車エンジン部品のサンプル」ナノフィルムテクノロジーズ ジャパン「ta-C膜を施した自動車エンジン部品のサンプル」

 アントンパール・ジャパンは、低荷重(0.1 mN)から高荷重(500 mN)、浅い押込み深さ(20 nm未満)から深い押込み深さ(100 μm超)まで、幅広く対応する汎用性に優れた計装化硬さ試験機(ナノインデンテーションテスタ)「NHT3」を展示した。トップリファレンス技術に基づく独自の設計を用いており、圧子の周囲に配置されたリファレンスリングによって、サンプル材料表面に対する真の押込み深さを計測する。温度が安定するのを待つことなく、インデンテーション測定を3分以内で実施できる。
アントンパール・ジャパン「NHT3」アントンパール・ジャパン「NHT3」

 協和界面科学は、今年4月に販売開始を予定している軽荷重摩擦摩耗解析装置「TSL-500」の実機を展示。潤滑油やコーティング表面の摩擦評価などで使用されている「TSf-502」が垂直荷重100~1000gに対して、同装置は1~20gと軽荷重の摩擦評価に特化している。同装置では、シャフトモータを使用した駆動システムを搭載することで試験の際の振動を軽減し、正確な摩擦解析が可能になる。現在のところ、軟質のコーティング膜、ヨーグルトなどのゲル状物質、印刷後のトナー・紙、化粧用パウダーファンデーションなどの評価を行い、各製品においてメーカーによる数値の違いを明らかにしているという。
協和界面科学「TSL-500」協和界面科学「TSL-500」

 新東科学は、摩擦摩耗試験機「トライボギア」のラインナップを紹介。実機を展示した「TYPE:40」は、摩擦力を測定する荷重変換器を測定子直上に配置し、不要な機構をなくしたことで高いレスポンスとセッティングの誤差をなくした。また、試料テーブルの摺動方向をアームに対して直交させ、往路復路の荷重変動をなくしたことで従来機よりも測定の精度を向上。さらに、Y方向ステージを標準装備して13mmストロークするように設計されており、サンプルを付け替えることなく別の部分で測定ができるようにしたことで利便性を向上している。
新東科学「トライボギア TYPE:40」新東科学「トライボギア TYPE:40」

 トリニティーラボは、摩擦・摩耗・引っ掻き・触覚・はく離評価を可能とする摩擦摩耗試験機「TRILAB 静・動摩擦測定機 TL201Tt」の実機展示を行った。同装置は従来機から精度・耐久性を向上し、機能をより充実させた新製品。直線摺動部にボールねじ仕様の高精度アクチュエータを採用することで、長時間の耐摩耗試験、低摩擦測定、激しいスティック&スリップ測定にも精度良い測定結果が得られるようにした。荷重変換器(ロードセル)の実荷重校正が本体に装備してあり、付属の基準分銅を使用して頻繁に荷重校正が行えるため、信頼性の高い測定データが得られるという。
トリニティーラボ「TRILAB 静・動摩擦測定機 TL201Tt」トリニティーラボ「TRILAB 静・動摩擦測定機 TL201Tt」

 レスカは、ISO 18535(DLC膜のボールオンディスク法による摩擦摩耗試験法)とISO 20808(ファインセラミックスのボールオンディスク法による摩擦摩耗試験法)に準拠した摩擦摩耗試験機「FPR2200」の実機を展示。同試験機の最大の特徴は、コーティング膜の摩擦摩耗などに大きな影響を与える湿度を10~80%の間で制御して摩擦係数が測定できること。湿潤環境で摩耗しやすい材料や膜などの研究開発、品質管理に適している。また、この1台で回転・往復・高温環境・液中環境における摩擦係数を再現性良く測定できるため、幅広い用途に適用できる。同社では、併せてナノレベルの薄膜の密着性を定量的に評価する超薄膜スクラッチ試験機「CSR5000」も紹介した。
レスカ「FPR2200」レスカ「FPR2200」

 大塚電子は、1台で手軽に5検体の連続測定が可能な新製品「多検体ナノ粒子径測定システム nanoSAQLA」を展示した。動的光散乱法(DLS法)による粒子径測定(粒子径0.6nm~10μm)装置で、希薄~濃厚系まで広濃度範囲で多検体測定対応した新光学系、ラボで必須な軽量・小型化、標準1分の高速測定を実現する。非浸漬型でコンタミの影響を受けず、オートサンプラーなしで「5検体連続測定」を標準装備した。
大塚電子「多検体ナノ粒子径測定システム nanoSAQLA」大塚電子「多検体ナノ粒子径測定システム nanoSAQLA」

 東京電子は、VISTA社が開発した、1台で残留ガス成分と全圧(真空度)の両方を測れる自動真空計(残留ガス分圧計付真空計)「Smart Vacuum Gauge(S Gauge)SC-10」を展示。一体に組み込まれたワイドレンジ真空計によって大気圧~超高真空までの全圧の測定ができ、残留ガス成分の測定は全圧が10Pa以下で自動的に開始される。従来のガス分析計(RGA)の動作できない荒引き圧力での成分計測やリークチェックが可能、とした。
東京電子「Smart Vacuum Gauge(S Gauge)SC-10」東京電子「Smart Vacuum Gauge(S Gauge)SC-10」