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第9回ものづくりワールド名古屋

 

東北大学、400℃でもほとんど熱分解しない高屈折率ナノコンポジット透明膜を開発

 東北大学の今野幹男教授・長尾大輔准教授らの研究グループは、高屈折率透明ナノコンポジット膜の作製技術を応用し、400℃程度の高温下でもほとんど熱分解しない高屈折率ナノコンポジット透明膜を新たに作製することに成功した。

 薄型ディスプレイに代表される表示デバイスでは一般に、異種材料界面で生じる屈折率差をできるだけ抑え、発光素子からの光を高効率で外部に取り出すことが重要となる。デバイス内に高屈折率・低屈折率材料が混在する多層構造の場合は特に、層間の屈折率ギャップを小さくし、異種材料界面で生じる光損失を低減することが求められる。このような課題に対して、屈折率ギャップを補うための透明膜を異種界面に挟み込むことが検討されているという。

 ポリマー中にナノ粒子を均一分散したナノコンポジット膜は、ナノ粒子の分散量によって屈折率を調整することが可能であり、屈折率ギャップ調整層として注目されている。これまでにも様々なナノ粒子と透明ポリマーからなるナノコンポジット膜が作製されている。しかし、デバイス製造工程ではナノコンポジット膜が300℃を超える高温環境に晒される場合もあり、このような場合、透明高分子として広く知られるアクリル系ポリマーをマトリックスポリマーとして利用することは困難であった。

 このような背景から同研究グループは、耐熱性に優れるポリイミド中に高屈折率材料としても知られるチタン酸バリウム(BT)をナノ粒子の状態で均一に分散させることで、高耐熱・高屈折のナノコンポジット透明薄膜を作製した。