高機能トライボ表面プロセス部会とドライコーティング研究会、合同研究会を開催

 表面技術協会・高機能トライボ表面プロセス部会(代表幹事:名古屋大学・梅原徳次氏)とドライコーティング研究会(事務局:近畿高エネルギー加工技術研究所(AMPI))は岐阜大学と共催で5月11日、岐阜県岐阜市の岐阜大学サテライトキャンパス 大講義室において、「高機能トライボ表面プロセス部会 第9回例会・第52回ドライコーティング研究会 合同研究会」を開催した。

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 高機能トライボ部会は、自動車の低燃費化・高性能化などへの高機能トライボ表面の寄与が増してきていることを背景に、自動車関連・コーティング関連企業や、大学・研究機関などが参加しての分野横断的な議論を通じ、低摩擦/高摩擦、耐摩耗性などに優れた高機能トライボ表面のためのプロセス革新に向けた検討を行う場として、2014年に設立された。

 また、AMPIでは所有する各種のレーザ装置やプラズマ装置を利用した加工技術や表面改質技術の研究開発、中小企業の技術支援、という二つのミッションを通じニーズとシーズを常に探っているが、ドライコーティング研究会はこうした観点からAMPIを母体にして、ドライコーティングなどの技術について研究会を開催することで、産官学問わず幅広い有識者の参加により、専門家の講演や保有技術の紹介など、活発な情報交換や勉強会の場を提供している。

 今回の合同研究会では、ドライコーティング研究会の山田 猛氏(近畿高エネルギー加工技術研究所 専務理事)と高機能トライボ部会 庶務幹事の上坂裕之氏(岐阜大学)からの開会挨拶に続いて、「プラズマ・熱処理および表面処理技術」をテーマに以下のとおり講演が行われた。

180518高機能トライボ01: 山田 猛氏180518高機能トライボ01: 山田 猛氏

180518高機能トライボ02: 上坂裕之氏180518高機能トライボ02: 上坂裕之氏

 「ラジカル窒化と複合硬化処理」坂本幸弘氏(千葉工業大学)…アルミニウムの耐摩耗特性の向上を目的に、ラジカル窒化処理を施したアルミニウム合金にダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を成膜する複合硬化処理を施し、生成物の評価と硬度や摩擦係数などの機械的特性について検討。外部加熱炉温度:室温、電圧:-350Vで窒化処理を施した後にDLC膜を被覆した試料は、直接DLCを被覆した試料に比べ、膜質が向上するとともに硬度が高くなるほか、摩擦係数が低くなる、という結果を得た。

180518高機能トライボ03: 坂本幸弘氏180518高機能トライボ03: 坂本幸弘氏

 「アトム窒化法の開発」原 民夫氏(プラズマ総合研究所)…大電流電子ビームによって効率よく窒素分子を解離するアトム窒化が、化合物層の生成がなく光沢を保っていることを表面粗さ計測結果などで示したほか、窒化材の最表面層(~0.1μm)の硬度が高いことを耐摩耗試験や硬さ試験結果などで示した。また、TiN被覆などとの複合処理によって臨界はく離荷重を向上でき工具寿命を通常の5倍に延長できることや、医療用刃物への適用では硬度の向上と靭性の維持、体液付着防止などに効果があることを示した。

180518高機能トライボ04: 原 民夫氏180518高機能トライボ04: 原 民夫氏

 「非真空プラズマ窒化技術」市來龍大氏(大分大学)…大気圧プラズマモードの非真空プラズマ窒化技術として、パルスアーク型プラズマジェット窒化法と誘電体バリア放電(DBD)窒化法のそれぞれの研究成果と産業応用について述べた。前者については低合金鋼の浸窒焼入れでの窒素濃度制御などの事例や、窒化による医療用チタン合金の生体適合性向上の事例を示したほか、複雑形状母材の窒化処理などに有効で局所硬化のニーズに対応できることを紹介した。後者については、処理範囲の制御性が良好で局所化が可能なことから、100μm程度の解像度で、マスキング不要でパターニングできる可能性を示した。

180518高機能トライボ05: 市來龍大氏180518高機能トライボ05: 市來龍大氏

 「スクリーンを用いたプラズマ窒化技術」西本明生氏(関西大学)…ワークの周りに金属製スクリーンを置き、これを陰極としてスクリーン表面でプラズマを発生させるアクティブスクリーンプラズマ窒化法により、DCプラズマ窒化法で問題とされた端部への放電の集中(エッジ効果)などを回避できることを示した。また、最近の研究として窒化層形成に及ぼす表面堆積物層の影響についての研究や、アクティブスクリーンプラズマ窒化とDLCコーティングの複合処理に関する研究などを紹介した。

180518高機能トライボ06: 西本明生氏180518高機能トライボ06: 西本明生氏

 「若手研究紹介:プラズマジェットCVD法による超高速シリコン製膜技術」西田 哲氏(岐阜大学)…ガスを高速噴流で供給することで従来法の104倍にあたる10μm/sの成膜速度を達成できるプラズマジェットCVD法を開発。高速噴流によって境界層厚みが減少し表面への成膜前駆体の物質移動が促進されて高速成膜を実現するというメカニズムを解明した。スリット状ノズルと平滑化装置を使用することで成膜高さを平滑化しつつ平均100nm/s以上の成膜速度を達成できたことを報告、二次電池材料への応用の可能性を示した。

180518高機能トライボ07: 西田 哲氏180518高機能トライボ07: 西田 哲氏