トライボコーティング技術研究会、第1回研究会・総会を理研で開催

 トライボコーティング技術研究会の「平成30年度第1回研究会・総会」が6月1日、埼玉県和光市の理化学研究所 和光本所 研究交流棟で開催された。

180613トライボコーティング技術研究会01開催のもよう

 当日はまず以下2件の講演が行われた。

・「固体被膜潤滑剤の基礎と応用」川邑正広氏(川邑研究所)…結合法など固体潤滑剤の適用法や、結合型固体潤滑剤の主要組成となる二硫化モリブデンやグラファイト、PTFEなどの固体潤滑剤とポリアミドイミドといった結合剤について紹介したほか、層状固体潤滑剤の潤滑機構イメージなどについて解説。特に二硫化モリブデン(MoS2)系固体潤滑剤のトライボロジー特性として、摩擦係数の面圧依存性や、摩擦係数に与える温度・荷重・速度の影響、被膜寿命に及ぼす前処理の影響などのデータを提示し、さらに宇宙潤滑における固体潤滑剤の適用事例を紹介したほか、代表的なトピックとして、長時間休止していた機械が動き出す際の摩擦係数の上昇を抑えるMoS2の「休止効果」を挙げた。耐食性、美装、導電性、絶縁性、非粘着性、摩擦係数の安定化といった被膜に要求される付加性能をより良く実現することで、様々な分野で固体潤滑被膜のアプリケーションを拡大できる可能性を示した。

180613トライボコーティング技術研究会02講演を行う川邑氏

・「これからの自動車エンジンに求められる摺動特性~DLCの適用可能性~」加納 眞氏(KANO Consulting Office)…日産自動車において低摩擦の水素フリーDLC(ta-C)を動弁系部品に適用するための研究開発を進めた自身の体験談をまじえて、自動車におけるトライボロジー技術変遷とトレンドについて解説した。DLCの超低摩擦特性発現について、雰囲気の影響が大きく、潤滑油添加剤による摩擦係数低減の可能性が大きいとして、オレイン酸潤滑下でta-Cが超低摩擦を示すという自身の近年の研究のほか、高オレイン酸ひまわり油(HOSO)やホホバオイルなどをDLCとともに使用することで超低摩擦を実現できた研究事例などを紹介した。2030年に向けて電動車両の市場が伸びると予想される中で、日産リーフの「e-POWER」などの発電専用ガソリンエンジンにおいて、上記のような環境調和型潤滑油とDLCの組合わせによる超低摩擦技術が適用できる可能性を示した。

180613トライボコーティング技術研究会03講演を行う加納氏

 講演に続いて「平成30年度総会」が行われ、平成29年度活動報告・会計報告がなされ、平成30年度活動計画が発表された。役員改選では、会長に大森 整 氏(理化学研究所 主任研究員)、副会長に熊谷 泰 氏(ナノコート・ティーエス社長)と野村博郎 氏(理化学研究所 大森素形材工学研究室 嘱託)が再任された。

180613トライボコーティング技術研究会04再任された大森会長

総会終了後は、理化学研究所 開拓研究本部 染谷薄膜素子研究室の見学会が催され、有機薄膜太陽電池を貼り付けた洗濯可能な白いワイシャツと同太陽電池の製作設備などが紹介された。

180613トライボコーティング技術研究会05有機薄膜太陽電池を貼り付けた洗濯可能な白いワイシャツ