京大など、鉄鋼材料の高温加工熱処理プロセスの直接解析に成功

 京都大学の柴田曉伸准教授、辻 伸泰教授らの研究グループは、韓国・嶺南大学、 米国・コロラド鉱山大学、 日本原子力研究開発機構と共同で、「その場中性子回折」によって鉄鋼材料の高温加工熱処理プロセスの直接解析に成功した。

 500℃~1000℃のような高温での加工と熱処理を組み合わせた加工熱処理は、1000年以上前の刀鍛冶から現在の自動車用鋼板や建築材などの鉄鋼材料製造にも引続き適用されている製造プロセス。しかし、高温度域での加工熱処理中にどのようにミクロ組織が形成されるかを直接観察することは困難であるため、現行の加工熱処理は依然として経験的な側面に大きく依存している。

 今回の研究では、加工熱処理において近年注目されている「動的フェライト変態」を研究対象にし、実際の鉄鋼材料製造プロセスを模擬した加工熱処理におけるミクロ組織の形成過程を、大強度陽子加速器施設・物質生命科学実験施設(J-PARC・MLF)でその場中性子回折実験によって調べ、動的フェライト変態機構や動的フェライト変態による超微細粒ミクロ組織の形成過程を明らかにした。

 今回の研究成果は、今後の鉄鋼材料製造における加工熱処理プロセスを理論的な観点から大きく飛躍させる可能性を持っており、鉄鋼産業などの産業界に大きな波及効果を及ぼすものとしている。
図:(上) 本研究で使⽤したその場中性⼦回折実験⽤⾼温加⼯熱処理シミュレータ (J-PARC MLF)。(下)加⼯熱処理中の中性⼦回折プロファイル図:(上) 本研究で使⽤したその場中性⼦回折実験⽤⾼温加⼯熱処理シミュレータ (J-PARC MLF)。(下)加⼯熱処理中の中性⼦回折プロファイル