東邦テナックス、ニッケルをコーティングした炭素繊維の生産増強を決定

　帝人グループの東邦テナックス（ http://www.tohotenax.com/tenax/jp/index.php ）は、拡大する電磁波シールド用途に対応するため、ニッケル被覆炭素繊維の生産増強を決定した。

　電子機器市場においては、製品に使用されている部品類の誤作動を防ぐ目的で、筐体などに電磁波シールド特性を付与するニーズが年々高まっている。これまで、電磁波シールド特性を付与する方法としては、完成した成型部品にめっき加工などの二次加工を行うことが一般的だったが、工程の数が増加することによるコストアップや、めっき加工に伴う溶剤処理などによる環境負荷の問題があった。

　同社が独自に開発したニッケル被覆炭素繊維は、炭素繊維にニッケルをコーティングすることにより、炭素繊維の優れた機械特性に、金属並みの導電性を付与した高機能繊維。これを短くカットし、樹脂などに混ぜて成形するだけで、高強度で、電磁波を遮蔽することができる筐体や部品の製造が可能となり、環境に配慮した電磁波シールド特性を有する製品を、低コストで製造することができる。

　今後は、電子機器用途に加え、電磁波シールド特性への要求の高まりが予想される電気自動車や航空機などの用途に向けて、積極的に展開していく。なお、今回の生産増強は、従来の生産拠点である三島事業所内に新たな生産設備を増設するもので、2013年1月には現状の約2倍の生産体制を構築し、20億円以上の売り上げを目指す。