トライボコーティング技術研究会など、第5回岩木賞贈呈式、第15回シンポジウムを開催

受賞者と関係者一同受賞者と関係者一同 トライボコーティング技術研究会( http://www.tribocoati.st )と理化学研究所は3月1日、埼玉・和光市の理化学研究所・鈴木梅太郎記念ホールで、「岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)第5回贈呈式」および「第15回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム―ハイブリッドカー部品・宇宙開発で活躍する表面処理技術―」を開催した。

 岩木賞は、同研究会と未来生産システム学協会(NPS)などからなる岩木賞審査委員会が表面改質、トライボコーティング分野で著しい業績を上げた個人、法人、団体を顕彰するもので、当該分野で多くの功績を残した故岩木正哉博士(理化学研究所元主任研究員、トライボコーティング技術研究会前会長)の偉業をたたえ、2008年度より創設された。今回は、大賞に「ケイ素を利用したトライボ表面処理技術の開発」で森 広行氏・中西和之氏(豊田中央研究所)、太刀川英男氏(元豊田中央研究所、現アイシン精機)、優秀賞に「真空装置用精密化学研磨」で三愛プラント工業 クリーンテック事業本部 技術開発センターが受賞した。

選考の経緯を述べる大森審査委員長選考の経緯を述べる大森審査委員長 大森整審査委員長(トライボコーティング技術研究会 会長・理化学研究所 主任研究員)は、「大賞業績は、ケイ素を含むDLC薄膜およびアルミ合金を用いた溶射被膜を積極的に活用し、主要部品の表面処理に応用した。こうした膜を採用することにより部品表面に潤滑被膜を形成し、非常に低摩擦な機構部品の表面処理を実現した。すでに自動車部品に採用されており、波及効果が著しいこともあり大賞に決定した。優秀賞は、高い真空性能とデバイス汚染が発生しない清浄度を持つ、真空装置用各種金属材料の精密化学研磨技術を開発した。すでにデバイス製造・分析用真空装置や先端学術用真空装置などに採用されているほか、航空宇宙やエネルギーなど広範な分野への波及効果が見込まれることで優秀賞に決定した」と選考の経緯を述べた後、各賞の贈呈が行われた。贈呈は、NPS表彰顕彰部門長を務める藤井 進氏が(神戸大学名誉教授)委員会を代表して行った。

右から中西氏、森氏、大森氏、藤井氏大賞を受賞した森氏(左)、中西氏(右)と関係者 大賞受賞の挨拶に立った森氏は「今回の受賞は、当社が基礎研究を担当したが、トヨタグループとしての共同研究・開発や製品の実用化が高く評価されたと思っている。基礎研究から一歩進んだ試作レベルに行くのは非常に困難で魔の川と言われている。またさらに量産技術のレベルに達するには死の谷と言われる程大きな壁を乗り越えなくてはならない。私どもが恵まれているのは、トヨタグループ各社とともに製品開発から実用化までを進めていけたことだ。シリコン含有DLCでは、トヨタグループにプラズマCVDなどの生産技術がなかったため、試作から量産まで一緒に汗を掻いて頂いた日本電子工業様に厚く御礼を申し上げたい。またシリコン含有DLCの初めての製品化では、ジェイテクト様、CNK様の貢献も非常に大きいことを申し添えて、この場を借りてお礼申し上げたい」と述べた。

優秀賞を受賞した三愛プラント工業と関係者優秀賞を受賞した三愛プラント工業と関係者 優秀賞受賞の挨拶では、谷内晶直氏(同社 代表取締役社長)が「少人数の中小企業の立場でこのような立派な賞を頂き、大変嬉しく思っている。会社の財産になるだけでなく、社員が心に誇りと自信を持てることが大きいと感じている。今後も研究のための研究ではなく、製品開発のための研究を進めていきたい。受賞業績の技術開発にあたっては、熱心なご指導を頂いた山口大学様ならびにアルバック様にこの場を借りて御礼申し上げたい」と述べた。

 贈呈式の後はシンポジウムに移行、岩木賞の記念講演として豊田中央研究所 森氏、三愛プラント工業 塩野入正和氏が講演を行った後、以下の特別・会員講演が行われた。

特別講演「イオンビームによる表面改質~真空中・気相中を経て液相中照射へ~」小林知洋氏(理化学研究所)
会員講演「オールカーボン製精密吸着盤」長妻忠浩氏(タンケンシールセーコウ)
会員講演「日本ITFにおけるDLCの開発事例とその応用」辻岡正憲氏(日本アイ・ティ・エフ)
会員講演「表面機能を創成するレーザ微細加工」若林正毅氏(理化学研究所)

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