表面改質展2017開催、ドライコーティング中心に表面改質技術が集結

 「表面改質展2017」、「VACUUM2017 真空展」が9月6日~8日の三日間、横浜市西区のパシフィコ横浜で開催、約16000人が来場した。主催は表面改質展が日刊工業新聞社、真空展が日本真空工業会と日本真空学会。両展示会では、ドライコーティングの装置や周辺機器の展示、各社独自開発の被膜による受託加工に関する展示が多数見られた。ここでは、表面改質展の展示内容を中心に、本サイトに関連の深い技術・製品を紹介する。
表面改質展2017の会場表面改質展2017の会場

 IHI Hauzer Techno Coating B.V.は、六価クロムを使用するクロムめっきの代替技術としてUVラッカー層とPVD法によるクロムコーティング層からなる六価クロムフリー新技術「Cromatipic®」を紹介。自動車内外装プラスチック部品に対するクロムコーティングプロセスとして提案していくという。この技術は、クロムめっきに比べて成膜可能なプラスチックの制約が少ないため、基材の適用範囲が広がる。また、基材が軟らかくても膜に追従性があるため、パーツのアッセンブリーが容易になるという。さらに、金属層が薄いため電波透過性に優れるなどの特徴も備えている。同技術は、スペイン・バルセロナに本年新設された同社工場で受託コーティングを開始。すでに欧州自動車メーカーのスピードメーター周りで採用されており、日本国内でも装置の拡販を進めていく。
IHI Hauzer Techno Coating B.V.「Cromatipicのコーティングサンプル」IHI Hauzer Techno Coating B.V.「Cromatipicのスピードメーター周りコーティングサンプル」

 オーエスジーコーティングサービスは、新しいコーティング技術として、アルミニウム合金用のエンドミルやチップに対して施されるDLCコーティング「DLC-IGUSS」を紹介。標準膜厚が同社DLC膜のラインアップでは0.8μmと厚膜なため長寿命を実現する。表面が平滑に仕上げられるため、耐溶着性や潤滑性が求められるアルミ合金の航空機部品やギヤ、油圧部品、建設用サッシなどの切削用途で使用できる。
オーエスジーコーティングサービスのブースオーエスジーコーティングサービスのブース

 フジメタルは、クラス10000のクリーンルームで行うプラズマイオン注入成膜装置によるDLCコーティングの受託加工を提案。同社の被膜は、東京都立産業技術研究センター(都産技研)との共同研究により開発した「塩素含有DLC膜」。都産技研が行った評価では、従来のDLC膜に比べて摩擦抵抗が50%低減することが確認されているという。また、同社は主に金属加工を行っていることから、金属加工から表面処理までの一貫生産による確かな品質保証を行うとした。
フジメタル「DLCコーティングのサンプル」フジメタル「DLCコーティングのサンプル」

 日本電子工業は、従来から行っているPCVD法によるDLCコーティング「NEO Cコーティング」とともに、多様な方法で成膜できるDLCコーティング「NEO VCコーティング」を紹介した。この技術は、UBMS法+PACVD法によるa-C:H膜、カソードアーク法によるta-C膜、UBMS法によるa-C:H膜などのほか、シリコンやタングステンを含有した被膜を形成することができる。同社では被膜のラインアップが拡大した強みを活かして、自動車部品や機械摺動部品の摩擦低減や耐摩耗性向上といった用途に提案を強化していく。
日本電子工業「DLCコーティングのサンプル」日本電子工業「DLCコーティングのサンプル」

 IHI Ionbond Japanは、低温処理でありながらPVD(物理蒸着)複合処理やCVD(化学蒸着)、TD(Toyota Diffusion process)処理と比べても大幅な長寿命化を達成できる冷間プレス・冷間鍛造金型向けコーティング「Ionbond 90」や、ホットスタンプ・アルミダイカスト・射出成型金型向けの最新ソリューションで、耐凝着性、耐焼付き性、耐食性に優れたコーティング「Ionbond35」などを紹介した。
 IHI Ionbond JapanのコーティングサンプルIHI Ionbond Japanのコーティングサンプル

 ゼネラル物産は、マグパルス社製の「大電力パルスマグネトロンスパッタリング(HiPIMS)用バイポーラパルス電源」を展示した。大電流を出力、高効率にイオン化し高品質な成膜を実現できるほか、HiPIMS電源とMF電源を同期運転することで両者のパルスを重畳し、最適なプロセスが提供できることを紹介。光学膜、ハードコーディング、装飾膜、バリア膜、非対称bias、RF carried biasing、Tribological HiPIMS、PE-CVDなどへの応用を提案した。
ゼネラル物産「HiPIMS用バイポーラパルス電源」ゼネラル物産「HiPIMS用バイポーラパルス電源」

 東京電子は、パルス電子を低い周波数、低いduty比でターゲットに加え、電力を短時間に集中させ一瞬だけ高密度のプラズマを形成させるHiPIMS用パルス電源を紹介したほか、ケニックス社製の世界最小クラスの「UHV(超高真空)対応マグネトロンスパッタカソード」を展示した。既存のUHVチャンバに容易に搭載でき、ガス導入系マウント構造によってターゲット表面にガス導入できることで効率的で再現性の良いプラズマ環境(密度・圧力)が得られる。
東京電子「UHV対応マグネトロンスパッタカソード」東京電子「UHV対応マグネトロンスパッタカソード」

 新明和工業は、世界最小クラスの粒径(2.7~3.5nm)、pH4~5、ゼータ電位45~55mVのナノダイヤモンド分散体「3 Nano Diamond dispersion」を参考出展した。独自の処理技術によって一次粒子の安定取り出しに成功。分散処理時に分散材だけでなくpH調整用の薬液を用いずに分散安定性を長期確保できるクリーンな製法により、塗装や潤滑剤、各種めっき、高機能樹脂など幅広い製品に適用できる。
新明和工業「3ナノダイヤモンド分散体」新明和工業「3ナノダイヤモンド分散体」