トライボコーティング技術研究会、高機能トライボ表面プロセス部会と合同研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会と表面技術協会 高機能トライボ表面プロセス部会は12月1日、東京都江東区の東京都立産業技術研究センターで、合同研究会「HiPIMSプロセスの最前線」を開催した。トライボコーティング技術研究会の第4回研究会を兼ねての開催となった。

 当日はトライボコーティング技術研究会会長の大森 整氏(理化学研究所)と高機能トライボ表面プロセス部会庶務理事の上坂裕之氏(岐阜大学)による開会の挨拶に続いて、以下のとおり講演がなされた。

17120401トライボコーティング技術研究会挨拶する大森 整 トライボコーティング技術研究会会長

17120402トライボコーティング技術研究会挨拶する上坂裕之 高機能トライボ表面プロセス部会 庶務理事

①「大電力パルスマグネトロンスパッタを用いたナノクラスター超原子の生成技術」角山寛規氏(慶応義塾大学)…大電力パルスマグネトロンスパッタ(HiPIMS)を用いた高強度ナノクラスター源「nanojima」の開発と特徴について紹介。金属ナノクラスターについては高強度化とサイズ制御性の向上が可能なことを、複合(二成分)ナノクラスター超原子については高高度化と選択性の向上が可能なことを、各種のデータをまじえて紹介した。また、nanojimaを用いたナノクラスター集積膜の作製事例を示した。

②「PBIIおよびHiPIMSによるDLC膜の作製」中尾節男氏(産業技術総合研究所 中部センター)…プラズマ利用イオン注入(PBII)法によるDLC成膜の原料ガスの影響について、ラマン分光法による評価ではSi添加によってPLC構造が増え、N添加によってGLC構造がわずかに増える結果を示し、XPSとナノインデンタによる評価ではSi-N結合の形成が硬度を増加させる結果を示した。また、HiPIMS+PBIIによる導電性DLC(GLC)の成膜では硬度が最大12 GPaだったのに対し、熱処理によって絶縁性を示して硬度は最大で8GPaと低下する結果を紹介した。

③「HiPIMS with 2 µm/hour Deposition Rate-The Trends in Coatings for Premium Cutting Tools-」Alexander Marxer氏(CemeCon)…HiPIMSが、アーク法に対してはドロップレットのない表面品質やストレス制御性などの、DCスパッタ法に対しては密着性や均一性、同社技術では2 µm/hという生産性などの優位性を示すことを述べたほか、同社の得意とする切削工具へのダイヤモンドコーティングについて、高い硬度と密着性を実現する層と、非常に平滑で強靭な層を交互に積層させる特許技術の多層技術が、密着性や高いツール径制御、シャープエッジ制御を実現しているとした。

 講演に続いて、東京都立産業技術研究センターの施設見学と、HiPIMS成膜システムを用いたプラズマ計測デモンストレーションが行われた。

 トライボコーティング技術研究会の第5回研究会となる理研シンポジウム 第20回「トライボコーティングの現状と将来」は来年2月23日、東京都板橋区の板橋区立文化会館小ホールで開催される予定で、第2回いたばしベンチャーフォーラムとの合同開催となる。当日は岩木賞国際賞・事業賞受賞の記念講演「紫色LEDを使った太陽光に近い白色LED-起業と実用化の流れ、次世代の光への挑戦-」中村修二氏(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)など、3件の岩木賞受賞記念講演がなされる。