日本機械工具工業会、コーティング工具など「平成29年度 日本機械工具工業会賞」発表

 日本機械工具工業会( http://www.jta-tool.jp )はこのほど、「平成29年度日本機械工具工業会賞」の受賞者を発表した。前身の超硬工具協会から数えて今回が40回目。業界功労賞で鈴木規方氏(元鈴木工機製作所)、松本康三氏(共立合金製作所 取締役会長)の2名が受賞したほか、技術功績賞10社14件、環境賞5件(環境大賞1件、環境特別賞4件)が選定された。

 技術功績賞で表面改質技術が評価された主な工具、受賞者、技術の特徴は以下の通り。

超硬ドリル用被膜『EgiAs』の開発

王 媺氏、杉田博昭氏(オーエスジー)
超硬ドリル用被膜『EgiAs』 自動車、産業機械などの分野で鋼製部品の機械加工に用いられる超硬ドリルの長寿命化を実現するためには、耐酸化性を向上させ刃先の硬度低下を抑制することやさらに靱性を損なわず耐摩耗性を向上させた新種被膜が必要とされた。新開発したEgiAsは、被膜をナノ周期で積層された事でクラックの伝播を防ぎ、高硬度で耐酸化性の優れた層を交互に積層させることで耐摩耗性と靱性をバランスよく向上させ、従来製品のWDⅠに対しドリルの耐久寿命を2倍以上に延長させることに成功した。

鋼旋削汎用コーテッド材種『AC8025P』の開発

金岡秀明氏、小野 聡氏(住友電工ハードメタル)、子吉雄太氏(北海道住電精密)
鋼旋削汎用コーテッド材種『AC8025P』 機械加工の現場においては、リードタイム短縮、加工コストの低減に加え省人化(自動化、無人化)へのニーズが強まっており、切削工具に対しては高能率化や長寿命化に加え、加工時に突発的なトラブルを起こさず、安定して使用できることへの要望が従来にも増して強くなっている。このような要望に対し、工具寿命の安定性、信頼性を著しく向上させた新CVDコーティング技術「Absotech Platinum」を適用した鋼旋削汎用「AC8025P」を開発した。

精密加工用旋削コーテッド材種『AC1030U』の開発

山西貴翔氏(住友電工ハードメタル)、竹下寛紀氏、藤原 賢司氏(北海道住電精密)
精密加工用旋削コーテッド材種『AC1030U』 近年、自動車部品加工の現場では部品の小型・軽量化が進んでおり、切削工具には幅広い被削材に対し、長寿命かつ優れた加工面品位が得られる切削工具が求められている。そこで同社はこれらの要望に対応すべく、新PVDコーティング技術「Absotech Bronze」を適用し高い刃先品位と耐摩耗性を両立した精密加工用旋削コーテッド材種AC1030Uを開発した。

高硬度材加工工具用被膜『DH1』の開発

春日良一氏、住田輝幸氏、竹田容大氏(ダイジェット工業)
高硬度材加工工具用被膜『DH1』 加工能率を向上させるため、焼入れ後の切削による直彫り加工が主流となり、金型材の高硬度難削化への対応がますます要求されている。金型の高速、高精度、高能率仕上げ加工に使用されるボールエンドミルにおいては、先端中心切刃付近の低速加工域での密着性と、外周切刃部の高速加工域 での耐熱性を兼ね備えた新被膜が必要とされる。また、荒加工工具においては、クラックの伝播を抑制する必要もある。同社の新被膜『DH1』は、ボールエンドミルによる加工において、摩擦力の大きい低速域側での膜はく離を抑制し、加工熱の発生が大きくなる高速域側での耐酸化性を大幅に改善した、高硬度難削材加工用新被膜である。

鏡面加工用ボールエンドミル『VFR2SBF』の開発

渡邊博史氏、橋本達生(三菱マテリアル)
鏡面加工用ボールエンドミル『VFR2SBF』 同品は高硬度鋼の切削加工において、被削物の加工面改善を目的として開発した超硬エンドミルである。これまで加工面の面粗さおよび光沢が必要な場合、切削加工後の長時間の手仕上げあるいはPCD等の高価な工具による仕上げ加工が必要であった。これに対し加工面へ鏡面性を付与するには切削工具の切れ刃平滑化が必須であることを見出し、新しく開発した独自の平滑化処理技術により切削での鏡面加工を実現した。