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第9回ものづくりワールド名古屋

 

Aggregator

ジェイテクト、電気自動車モータ用高速回転グリース潤滑玉軸受を開発

3年 11ヶ月 ago
ジェイテクト、電気自動車モータ用高速回転グリース潤滑玉軸受を開発kat 2020年05日29日(金) in in

 ジェイテクトは、電気自動車(EV車)の駆動ユニットのモータ用として、dmn(ピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1))2150万以上の高速回転を可能にするグリース潤滑玉軸受を開発した。これにより同社では、モータの小型・高出力化による高速回転化に対応し、電費の向上と航続距離の延長に貢献していく。

開発品


 同社亀山工場・四国工場、グループ企業のダイベアなどで2025年に量産を開始し、国内外の自動車メーカー、駆動モータメーカーなどに提案を進め、3億円/年の売上を目指す。

 近年普及の進むEV車は環境への負荷が低く、今後ますます厳しさを増す燃費規制をクリアする技術として注目され、電力の高効率化や安全性・快適性の向上のため、さらなる技術開発が求められている。

 中でも、自動車の燃費・電費の向上に直結するモータの小型・高出力化が進んでおり、モータを支持する軸受には一層の高速回転性能が要求されている。そのため、高速回転下でも破損や焼付きが発生しない軸受の開発が課題となっていた。

 これに対しジェイテクトでは、これらの課題を解決するEV車の駆動ユニットのモータに使用する高速回転グリース潤滑玉軸受を開発したもの。

 軸受の高速化技術として、冠型の樹脂保持器の形状を工夫する手法が一般的だが、さらなる高速回転化による遠心力の増大により、保持器の変形や他部品との干渉による破損や、焼付きという問題が発生していた。そこで、開発品では、冠形の保持器とはまったく異なった革新的な新形状の保持器の開発と、独自開発のグリース採用によって、さらなる高速化に対応することを可能にした。

開発品の特徴

 

 新形状樹脂保持器の開発では、ボールポケット形状の工夫と軽量化設計で遠心力による影響を軽減したほか、グリースを保持する形状を採用し潤滑性を向上した。また、従来の高速回転用冠形保持器と比較して、保持器の軸方向寸法をコンパクト化した。


 独自開発グリースの採用では、高温高速条件下での潤滑性能とグリース寿命を向上した。

 開発品では、軸受幅を拡大することなく、グリース潤滑玉軸受の高速性をさらに向上させ、dmn 150万以上を実現している。

評価結果

 

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芝浦機械、しゅう動面仕様のターニングセンタを追加

3年 11ヶ月 ago
芝浦機械、しゅう動面仕様のターニングセンタを追加kat 2020年5月29日(金曜日) in

 芝浦機械はこのほど、ターニングセンタ「TMDシリーズ」のラインナップにしゅう動面仕様機を追加し、基本仕様の改善を実施した。

TMDシリーズ しゅう動面仕様機

 

 しゅう動面仕様機と14MPaの超高圧クーラントの組み合わせにより、航空・宇宙分野などで部品用途がある耐熱鋼インコネル718の高効率加工を提案する。

 同社のターニングセンタTMDシリーズは、高剛性、高精度、高応答性に優れ、一般鋼材への加工に適した仕様となっている。今回、切削振動対応に優れ、高減衰性を高めるしゅう動面仕様機をラインアップへ追加し、航空・宇宙分野などの部品加工で要求されるインコネル等の耐熱鋼への、より効率の良い加工提案が可能となったもの。

 インコネルをはじめとする多くの耐熱鋼は加工硬化性が高く、旋削加工時に発熱、流れ型の切りくずが発生するため、高効率加工には刃先冷却と切りくずの飛散防止対策が重要となっている。

 今回、超高圧クーラントを刃先に吹き付けながら旋削加工することで、これらの課題を解決した。さらに、加工方法の変更で、従来切削方法比で切削用チップ寿命を1.4倍以上に長寿命化し、耐熱鋼インコネルの高効率加工に対応する。

 早送り速度については、X軸早送りを12m/minから15m/minに、Z軸早送りを10m/minから12m/minにそれぞれ高速化し、より効率の良い加工提案が可能となった。

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ヤマハ、スーパースポーツのフラッグシップモデル2種を8月に発売

3年 11ヶ月 ago
ヤマハ、スーパースポーツのフラッグシップモデル2種を8月に発売kat 2020年5月29日(金曜日) in

 ヤマハ発動機は、クロスプレーン型クランクシャフト採用の水冷・4ストローク・DOHC・直列4気筒・4バルブ・997cm3エンジンを搭載したスーパースポーツ「YZF-R1M」と「YZF-R1」を8月20日に発売する。

「YZF-R1」ブルー

 

 「YZF-R1」は、1998年の販売開始からスーパースポーツ市場を牽引してきた同社モーターサイクルのフラッグシップモデルで、サーキットを征する性能を照準に開発した。

 主な特長は、①サーキット性能に磨きを掛けたクロスプレーンエンジン、②APSG(アクセル開度センサーグリップ)を織り込んだYCC-T(電子制御スロットル)、③伝わりやすい“接地感”を主眼にセッティングした前後サスペンション、④EBM(エンジンブレーキマネジメント)とBC(ブレーキコントロール)を加え、すべてを見直した電子制御システム、⑤エアロダイナミクス特性を高めた新設計のカウリング、⑥次世代“R”デザインを主張するLEDデュアルヘッドランプ&新作ポジションランプ、など。

 上級モデルの「YZF-R1M」は、オーリンズ社製電子制御サスペンションやアルミにバフがけを施したタンクやリアアームに加え、新たにカーボン素材の軽量カウルを採用している。

 最高出力200PSを発揮するエンジンは、環境規制に適合しつつ、クロスプレーンの“リニアリティとトルク感”向上を目標に開発した。スロットルバルブと燃焼室を近づけるために新作したシリンダーヘッドとバルブ傘裏狙いの斜流噴射のインジェクターを搭載。これらによって、低〜中回転域の燃焼速度を最適化し、スロットルの開け始めからのリニアリティ感を向上するとともに、トルク感のあるエンジン特性に仕上げた。

 なお、高回転域ではセカンダリーインジェクターからの噴射が加わり良好な燃焼に貢献する。

 また、フィンガーロッカーアーム式バルブシステムを採用した。アーム形状を見直し、高回転域でのバルブ挙動特性を向上。レースユースでのさらなる高回転化を見据えた限界性能の底上げも果たしている。

 さらに高回転域での油圧低下を防ぎ、オイル撹拌によるロス馬力低減を図るため、各コンロッド大端部へのオイル供給は、“センター給油方式”を採用。コンロッド大端、クランクジャーナル、ピストンクーラーへのオイル供給量の最適化を図り、高回転域でのクランクケース内のオイル撹拌による馬力ロスを低減している。

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ヤマハ、425馬力4ストローク船外機の国内販売を8月から開始

3年 11ヶ月 ago
ヤマハ、425馬力4ストローク船外機の国内販売を8月から開始kat 2020年5月29日(金曜日) in

 ヤマハ発動機は、同社ラインアップの中で最大馬力となる、425馬力の4ストローク船外機「F/FL425A」の国内販売を8月に開始する。

F/FL425A:ホワイト仕様もラインナップ

 

 「F/FL425A」は、2018年夏に米国で先行発売し、北米市場から高い評価を得ている大型4ストローク船外機。パワーユニットにはV型8気筒、排気量5559cm3、最高出力425馬力のエンジンを採用、高負荷運転に対応する耐久性を高めながら、「ダイレクトフューエルインジェクション」や「内蔵型電動ステアリングシステム」を4ストローク船外機として初めて採用し、最高レベルのトルクとパワーを発揮する。

さらに同社が培ってきた船外機制御技術「ヘルムマスター」や「CL7」との組み合わせにより、高い利便性を有する。

 本船外機は、2018年に米国舟艇工業会(NMMA: National Marine Manufacturers Association)のイノベーションアワードを受賞している。

 大型船外機の主要市場である北米では、30フィートを超える大型ボートの推進機として主流であった船内機(インボード)や船内外機(スタンドライブ)に代わり、スピード性能と燃料経済性、メンテナンス性に優れ、さらに船内スペースが広く確保できる船外機が注目されている。

 「F/FL425A」は、こうした市場ニーズに応え、大型の外洋型ボートの主機として充分に対応するトルクとパワーを持ち、かつ耐久性に優れた信頼性の高い船外機として開発された。

また、ボートの大型化と船外機の複数台セットによって、操船に高いスキルが求められることから、ケーブルや油圧装置を廃した「内蔵型電動ステアリングシステム」を採用し、軽快で応答性に優れたステアリング特性を実現するとともに、ジョイスティックによる操船が可能な「ヘルムマスター」、7インチのタッチスクリーンカラーディスプレイ「CL7」との組み合わせなどにより、扱いやすく、操船のしやすいシステムを構築できる。

 日本市場においては、大馬力エンジンを必要とする大型プレジャーボートや漁業用和船、業務艇における推進機の換装を見込み、これらの市場に対して需要の喚起を図っていく。

主な特徴は以下のとおり。

・4ストローク船外機として初めてダイレクトフューエルインジェクションを採用し、燃焼効率を高め、卓越したトルクとパワーを実現。

・専用プロペラも同時に新規開発。翼面積を拡大し、十分な推進力を確保するとともに、旋回時のベンチレーション(船底からの空気吸い込み)を低減。信頼性の観点から、二相ステンレス鋼を採用することで、耐腐食性とキャビテーション(プロペラ表面圧力低下による気泡発生)耐力も向上。

・425馬力もの出力をプロペラに伝達するためのギアサイズは大きくなる一方で、水の抵抗は増加するため、本モデルでは、全面歯当たりする歯形形状を採用することで、小さいギアサイズでも、面圧を分散し、耐久性向上とサイズダウンの両立を実現。また、新たな形状のロアギアケースを採用することで、水中の抵抗を低減させ高速走行時、および旋回時の良好な安定性を確保しました。

・船外機では初の「内蔵型電動ステアリング」を採用、ステアリング操作に対してダイレクトに反応する操船性とリギング類の簡素化を実現した

・新たな排気構造を採用し、プロペラへの排気ガスの干渉を低減。後進時の推進力を高めることで、ヘルムマスターによる操船時の効率を上げ、離着岸など低速でのボート取り回しを容易にした

・90Aの発電容量を確保し、電化製品をはじめ、多様な航海計器、電子機器類の使用に対応した

・係留した状態でオイルの交換を可能とする新しい「水上ギヤオイル交換システム」を採用した。

・次世代の船外機として外観デザインを一新させ、伝統的な「船外機らしさ」「ヤマハらしさ」を継承しながらも、個性的でダイナミックなフォルムを採用し、ホワイトカラーをラインアップに追加した

・多分割構造のカウリングを採用し、外観のデザイン性とともにメンテナンス性、リギングの容易性を高めた

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日産、EV救急車がゼロエミッション東京の実現に向け東京消防庁で稼働開始

3年 11ヶ月 ago
日産、EV救急車がゼロエミッション東京の実現に向け東京消防庁で稼働開始kat 2020年5月29日(金曜日) in

 日産自動車は、東京消防庁池袋消防署へ納車した日本初のゼロエミッション(EV)救急車が稼働を開始したと発表した。

ゼロエミッション(EV)救急車

 

 車両サイズは全長5548mm、全幅2070mm、全高2499mmで車両総重量は3.5t、乗車定員は7名。モーターは最大出力55kW、最大トルク220Nmで、駆動用バッテリーは容量33kWh、充電AC200V 最大 7kw 普通充電(タイプ2)。装備品用バッテリーは容量 8kWh、充電AC100V 1.5kW。駆動方式は前輪駆動。

 本車両は、東京都が推進する「ゼロエミッション東京」の取組みの一環として、東京消防局に初のゼロエミッション(EV)救急車として導入されたもので、同車は池袋消防署のデイタイム救急隊で運用される予定。

 本車両は、救急隊員の負担を軽減するための電動ストレッチャーや、すべてのシートに乗員の安全性を向上させるシートベルトが装備されている。

 また、救急車には患者や隊員の身体的な負担軽減が求められることや精密医療器具を搭載する必要があることなどから、静粛性が高く、振動の少ないEVのメリットは大きいと見られている。

 さらに、本車両は33kWhと8kWhの二つのリチウムイオンバッテリーを搭載しているため、電装機器やエアコンをより長時間作動させることが可能で、停電時や災害時には移動電源としても活用できる。

 本車両は、同社が欧州で販売中の「NV400」をベース車両としており、日本法規への適合や専用の救急架装については、日産パラメディックでの豊富な実績を持つオートワークス京都に委託した。

 内外装は欧州の緊急車両架装大手であるGruau社に委託、堅牢で合理的な救急架装パッケージを採用している。

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ファナック、加工機・ロボットによる自動化システムの簡単スタートアップパッケージを販売開始

3年 11ヶ月 ago
ファナック、加工機・ロボットによる自動化システムの簡単スタートアップパッケージを販売開始kat 2020年5月29日(金曜日) in

 ファナックは、切削加工機・放電加工機・射出成形機など加工を司る「ロボマシン」とロボットを組み合わせたシステム構築に必要な基本要素をパッケージ化した QSSR (Quick and Simple Startup of Robotization) を開発し、販売を開始した。

 QSSRを使用したシステム構築により、設計工数やシステム立上げ時間を大幅に短縮し、ロボマシンとロボットによる自動化システムの簡単設置、簡単設定、簡単操作を実現する。

 小型切削加工機「ROBODRILL α-DiBシリーズ」と「LR Mate 200iD」による 「ROBODRILL-QSSR」は、加工ワークの自動交換に最適なロボットシステム。ロボット取付架台、安全柵、簡単接続機能、ロボットのサンプルプログラムなど、ロボットシステム構築に必要な基本要素をパッケージ化し、加工現場の自動化を実現する。側面自動ドアは、サーボモータ駆動式も選択可能で、エアシリンダ駆動式に比べドア開閉時間が約40%と高速で、さらにロボットとの同時動作によりワーク脱着時間の大幅な短縮が可能。

ROBODRILL-QSSR

 

 電動射出成形機「ROBOSHOT α-SiAシリーズ」と「LR Mate 200iD」による 「ROBOSHOT-QSSR」は、成形品の取出しや成形後の組立に最適なロボットシステム。ロボット取付架台、安全柵および安全装置、ロボットのサンプルプログラムなど、システム構築に必要な基本要素をパッケージ化し、成形現場の自動化を実現する。あらかじめ組み込まれたロボットのサンプルプログラムに、アプリケーションに合わせた位置教示を追加することで、ロボット動作のカスタマイズが可能。

ROBOSHOT-QSSR

 

 ワイヤカット放電加工機「ROBOCUT α-CiBシリーズ」と「M-20iA」による「ROBOCUT-QSSR」は、加工ワークの自動交換に最適なロボットシステム。ロボット取付架台、安全柵および安全装置、ロボットのサンプルプログラムなど、システム構築に必要な基本要素をパッケージ化し、加工現場の自動化を実現する。コア・ステッチ機能は、荒加工後に除去が必要な中子をワークに一時的に固着。仕上げ加工前にロボットで中子の除去を行うことにより、ワークの自動交換と合わせて、長時間の連続無人運転が可能となっている。

ROBOCUT-QSSR


 

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DMG森精機、工作機械にニコンの非接触レーザースキャナーの搭載を開始

3年 11ヶ月 ago
DMG森精機、工作機械にニコンの非接触レーザースキャナーの搭載を開始kat 2020年5月28日(木曜日) in

 DMG森精機は、ニコンと2019年11月に包括的な業務提携を行うことで基本合意し、本年3月に正式契約を締結しているが、今回、この包括的な業務提携の一環として、同社の工作機械にニコンの非接触レーザースキャナー「LC15Dx」を搭載することが決定し、両社は売買契約の締結に関し基本合意した。

ニコンの非接触レーザースキャナー 「LC15Dx」搭載イメージ

 

 ニコンの非接触レーザースキャナー 「LC15Dx」は高性能データ処理機能の搭載により、接触式の三次元測定機と同等の精度で、さらに高速に多点測定が可能なほか、タッチプローブでの測定が困難な小寸法や複雑な形状の被検物など様々な部品を非接触で効率よく測定できる。

 DMG森精機は独自の非接触機上計測システムにこの「LC15Dx」を組み込み、オプションとして一部の工作機械に搭載、今秋から販売を開始する。航空機や建設機械、エネルギー産業向けの大型ギヤやタービンブレードの計測・測定に最適で、加工工程の改善、加工精度の向上に貢献する。搭載機種は順次拡大していく予定。

 同社と光利用技術と精密技術をコアとし幅広い技術力を持つニコンのそれぞれのリソースを組み合わせることでシナジーを創出、両社がともに革新的なソリューションを顧客に提供していく考えだ。

 

カラーマップ:設計データとの誤差カラーマップ

 

トポグラフ:ベベルギヤ歯面評価結果

 

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ジェイテクト、第5世代 低トルク円すいころ軸受を開発

3年 11ヶ月 ago
ジェイテクト、第5世代 低トルク円すいころ軸受を開発kat 2020年05日28日(木) in in

 ジェイテクトは、自動車のトランスミッションやデフユニットのピニオン支持などに使用される円すいころ軸受において、シリーズNo.1の低トルク性能と最軽量を誇る第5世代の低トルク円すいころ軸受「LFT-V」(LFTはLow Friction Torqueの略で同社の登録商標)を開発した。

LFT-V

 

 2022年をめどに量産を開始、自動車の低燃費化、高効率化に貢献するとともにEV化にも対応する製品として、今後国内外の自動車メーカー・変速機メーカーなどへ提案を進め、2025年に170万セット/年の販売を目指す。

 自動車のトランスミッションやデファレンシャルに用いられる円すいころ軸受は油中で使用されるが、特に「潤滑油粘度が高い」「給油量が多い」「回転速度が高い」といった使用条件となり、軸受のポンプ作用により、潤滑油の撹拌損失が大きくなってしまうという問題があった。

 そこで同社では、潤滑油の攪拌損失の低減に着目し、軸受内部に流入する潤滑油量を抑制することで大幅な低トルク化を実現した「第3世代低トルク円すいころ軸受(LFT-Ⅲ)」、「第4世代低トルク円すいころ軸受(LFT-Ⅳ)」を開発し商品化してきた。

 今回、さらなる低燃費化へのニーズに対応すべく樹脂保持器形状の最適化を行い、潤滑油の流入量を最適制御することで、シリーズNo.1の低トルク性を実現するとともに、保持器ポケット部に油を保持できる溝を設け、始動時や低温時の耐焼付き性の向上に加えて、昨今の低粘度油化および油量低減を見据えて軸受内部の油流れの最適化を行うことで、軸受昇温も低減できる第5世代低トルク円すいころ軸受(LFT- V)を開発したもの。

 開発品の特徴は以下のとおり。

・樹脂保持器形状の最適化により、いずれもLFT-Ⅱ比で、損失トルク60%低減、軸受昇温15%低減、異物油中寿命2倍、耐低温焼付き性:無給油焼付き時間2.2倍、という円すいころ軸受-LFTシリーズNo.1性能を実現

シリーズNo.1性能


・周辺部品の変更なしに省スペースでの低トルク設計対応が可能になり、円すいころ軸受-LFTシリーズ最軽量を実現(保持器の質量60%削減で、軸受質量5%軽量化)

シリーズ最軽量

 

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ジェイテクト、産学連携によるコオロギの食糧資源化を推進

3年 11ヶ月 ago
ジェイテクト、産学連携によるコオロギの食糧資源化を推進kat 2020年5月27日(水曜日) in

 ジェイテクトは2019年6月11日に徳島大学と新領域分野での研究開発・事業化を推進する目的で横断的産学共同研究事業を立ち上げ包括連携協定を締結したが、このほどその取組みの一環として、徳島大学発ベンチャー企業であるグリラスと食用コオロギ(昆虫食)の安定生産において業務提携した。将来の食糧不足回避に向けて、安定した循環型エコシステムの構築を目指す考えだ。

 徳島大学では約30年前からコオロギの研究に取り組んでおり、2016年から食用コオロギの研究を開始、ジェイテクトはこの取組みに2019年から共同研究として参画している。食用コオロギは飼育時の環境負荷が牛などの家畜に比べて非常に小さいことから、将来の食糧危機を回避することや、持続可能なたんぱく源となることが期待されている。

 今回、グリラスのコオロギの飼育技術とジェイテクトの自動化技術やIoT技術、品質管理技術(統計的手法の活用)といったものづくり技術を融合し、高品質なコオロギを量産することを目的に業務提携を行うもの。ジェイテクトはものづくり技術を活かしたコオロギの自動飼育システムの実用化を推進することで、高品質な食用コオロギの大量・安定供給を実現し、SDGs開発目標として掲げられる「飢餓をゼロに」への貢献を目指す。

 ジェイテクトは、コオロギ飼育に最適な環境を精密に制御し、生産性を向上する自動飼育システムを、IoT技術を応用して開発し、安心・安全なコオロギの安定供給の実現を目指す。これにより、徳島大学、グリラスの食用コオロギの研究・事業化を支援し、食糧の安定確保と持続可能な社会の実現に貢献していく。また、関係機関とともに循環型エコシステムの構築を目標とし、様々なSDGsのゴール達成に貢献していく。

 

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ジェイテクト、低粘度油対応長寿命軸受を開発

3年 11ヶ月 ago
ジェイテクト、低粘度油対応長寿命軸受を開発kat 2020年05日27日(水) in in

 ジェイテクトは、自動車減速機の潤滑油として今後使用拡大が予想される低粘度油下で発生が懸念される軸受の早期破損に対し、優れた耐久性を有する長寿命軸受を開発した。これにより、エンジン車や電動車の駆動ユニットの信頼性の向上に貢献する。

低粘度油対応長寿命軸受

 

 2025年に同社亀山工場および四国工場、グループ企業のダイベアで量産を開始。国内外自動車メーカー・CVTメーカー・電動ユニットメーカーなどに提案を進め、5万個/月の売上を目指す。

 自動車の燃費・電費向上策の一つとして近年、減速機に使用する潤滑油の低粘度化が進んでいる。潤滑油の低粘度化には、軸受の撹拌抵抗が抑制されることによりトルクが低減するメリットがある反面、軸受に対しては潤滑状態が厳しくなり、高荷重、高振動が発生する過酷な環境下で使用されると、早期に破損が発生する場合があることから、低粘度油に対して高い耐久性のある軸受の開発が急務となっていた。

 これに対しジェイテクトでは、軸受の材料と熱処理に着目し、低粘度の潤滑油中でも優れた耐久性を有する軸受を開発したもの。

従来品との軸受寿命比較

 

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NTN、軸受の異常検知サービスを拡充

3年 11ヶ月 ago
NTN、軸受の異常検知サービスを拡充kat 2020年05日27日(水) in

 NTNは、幅41mm×奥行36mm×高さ87mmと手のひらサイズのコンパクトで持ち運びもセットも簡単な「NTNポータブル異常検知装置」を5月から販売する。簡単操作で高度な軸受診断ができ、回転機械の定期チェックに有効。同社ではまた、本商品を用いた診断・分析レポートを提供するサービスも開始し、設備のメンテナンス性向上に向けた総合的な技術サービスを拡充していく。

NTNポータブル異常検知装置

 

 本商品は、測定・解析時間が約7秒と短く、また、測定する装置や環境に合わせた四つの設置方法(マグネットによる簡単設置やねじ止めによる確実な取付けなど)による取扱い性が容易で、1回の測定で、OA(計測した振動波形の全体を用い、実効値やピーク値などを算出する手法)、FFT(高速フーリエ変換を用いて周波数スペクトルを求め、入力信号を分析・解析する手法)を同時に解析可能。

 用途は、電動機械(昇降機、ポンプ、搬送機械)、製紙機械、プラント設備、工作機械、一般産業機械の設備保全、出荷検査、サービス員携帯用など広範で、2023年度に5000万円/年の販売を目指す。

 同社では、本商品を単体販売するほか、本商品を用いた診断・分析レポートなど顧客のニーズに合わせたサービスの提供も予定している。また、機械振動の測定や異常診断などに特化した技術講習会の開催など、技術サービスも拡充する。

 機械保全においては従来、技能員の経験や感覚などを頼りに行われていたが、近年は人材不足などによりノウハウの蓄積が困難になっており、機械の異常を検知するツールへのニーズが高まっている。また、予防保全の重要性に対する認識の向上により、生産ラインだけでなく、搬送や油空圧機器など付帯設備にまで状態監視へのニーズが広がってきている。

 こうしたニーズに対応するためNTNは、振動データの収集・分析・結果表示が可能な「ハンディ型異常検知装置」を2014年に開発し、市場に展開。その後、小型化と機能向上を図った「NTNポータブル異常検知装置」を2018年に開発し、市場で多くのトライアルを行う中で、さらに解析機能を改良して今回、取扱い性も高めた本商品の販売を開始することとなったもの。

 本商品の、従来品からの主な改良ポイントは以下のとおり。

・解析プログラムの最適化で測定・解析時間を約半分に短縮(約15秒から約7秒に)
・マグネットやねじ止めによる直接締結など四つの設置方法から任意に選択可能
・解析用スマートデバイスを、Androidから、iOS対応に変更
・振動ピックアップ、電池ボックス、接続ケーブルの3部品を一体化
・IP65対応

 同社は、本商品の販売を機に予防保全に対応する技術サービスを一層拡充するとともに、センシング技術やデジタル技術を活用し、機械設備のライフサイクル延長や生産効率の向上に貢献するサービス・ソリューション事業を拡大していく。

使用例


 

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イグス、デジタルプレスカンファレンスを開催

3年 11ヶ月 ago
イグス、デジタルプレスカンファレンスを開催 in kat 2020年05日25日(月) in

 イグスは5月20日、ドイツ本社からのライブストリーミング配信による「デジタルプレスカンファレンス」を開催した。当日は、北川邦彦社長とドイツ本社フランク・ブラーゼCEOの挨拶・事業展開に関する報告がなされたほか、「ハノーバーメッセ2020」の開催中止により実展示で披露できなかった100点超の2020年新提案商品が、ドイツ本社内に特設されたブースでのバーチャル展示会を通じて披露された。
 

 

 当日はまず北川社長が、「ハノーバーメッセ2020は残念ながら新型コロナウイルス(Covid-19)の感染拡大の影響を踏まえて中止となったものの、代わって本日は、同展で披露するはずだった新提案商品すべてを展示している、ドイツ本社施設内に特設した広さ400㎡の特設展示会場にバーチャルワープしていただき、イグスのモットーである“技術を上げて(寿命を延ばして)コストを下げる”に基づいて開発された100点を超える革新的な新提案商品をご覧いただきたい」と挨拶。日本においては第5工場が新設されるなど3年間で在庫量が倍増しているほか、人員も増強してきており、出荷やアフターサービスも迅速な対応がなされていることや、イグスの無給油のベアリングやスマートプラスチック、3Dプリンティングなどが、メンテナンスフリーや予知保全、開発期間短縮などを重視する日本の市場にフィットしており、チェーンフレックスを中心に売上が堅調に伸びイグスのワールドワイドのビジネスに貢献していることを報告した。
 

北川氏

 

 さらにブラーゼCEOが挨拶に立ち、「2019年度は米国、韓国、中国の新工場を設立、ロジスティックス拡大によりユーザーの近くで納期短縮などサービス向上を図れる体制を整備した。また、470万ユーロを投じてケミカルリサイクルの技術を持つスタートアップ企業Mura Technology社への投資を開始。ユーザーからイグス製、他社製を問わず使用済みの樹脂製品を引き取り、オイルにリサイクルするルートを確立している。昨年は厳しい経済状況にもかかわらず、前年比2%増の7億6400万ユーロの売上高を達成した。これはユーザーのコスト削減や装置のメンテナンスフリー化などに貢献するモーション・プラスチックが採用され続けている賜物。Covid-19感染拡大に伴う大変厳しい状況にはあるものの、受注については概ね安定傾向にあり、引き続き増加に転じるものと信じている」と語った。将来に向けた重要投資を継続していく考えで、ケルンの本社敷地内で二つのサイトをつなぐトンネル掘削工事や新たなビルの建設を予定しているほか、モーション・プラスチック製品を迅速・簡単・確実に供給する目的でデジタル化への投資も継続していることなどを報告した。
 

ブラーゼ氏

 

 続いて、バーチャル展示会を通じて、製品分野ごとに新提案がなされた。

 

ケーブル保護管「エナジーチェーン」の新提案商品 ・ガイドチャンネル不要のエネルギー・データ伝送システム「オートグライド5」

 狭くコンパクトなスペースでのエネルギー・データ伝送、自動倉庫などの高速レーン移動では、バスバーシステムが多く採用されているが、メンテナンス費用が高いこと、原則電力の伝送にのみ適用可能であること、接触不良を回避するための定期的なクリーニングが必要であるなどのデメリットがあった。この課題解決のためイグスは、ケーブルを最高速度4m/s、最長ストローク80mで、ガイドチャンネルなしで安全にガイドする「オートグライド5」を開発した。通路に設置するロープまたはレール上に簡単に取付けが可能で、低価格、メンテナンスフリーが図れるうえ、ガイドチャンネルシステムに比べ取付け時間が約88%短縮でき、バスバーシステムの代替品として利用できる。

 オートグライド5は、付属の金属製ロープを床面に敷設するだけで取り付けられる。オプションで樹脂製ロープまたはレールによるガイドも可能。チェーンリンク下側の中央にガイドエレメントが装備されているため、エナジーチェーンは確実にロープ上に留まる。また、耐摩耗性を確保しながらチェーン上部走行部が下部走行部の上を正確に走行するよう、射出成形された、くし形のオートグライド専用クロスバーが取り付けられているため、ガイドチャンネルを不要としている。
 

オートグライド5

 

・スリップリング不要のケーブルガイド「eスプール フレックス」

 生産現場で工具や操作盤を自在に使用するには、適切な長さのケーブルやホースが必要になるが、ケーブルが室内のフロア一面に無防備に散乱していると、躓く危険性がある。スリップリング付きのケーブルリールはエネルギー伝送のためのソリューションの一つだが、新しいケーブルを装備した状態でのパッケージ品としてのみ入手可能なことが多く、また大量データの高速伝送が求められる場合は非常に複雑になる。こうした点からイグスは、ウォームガイドを装備したケーブルリール「eスプール フレックス」を開発した。ケーブルの巻取りにスリップリングが不要なため、バスケーブルやエアー・液体用のホースもスムースにガイドする。また、ユーザーは既存のケーブルをこのシステムに簡単に取付けることができるため、費用を節約できるだけでなく、作業場の安全性も高まる。さらに、新しく採用したウォームガイドにより、素早い設置が可能。ケーブルやホースを収納したウォームガイドは、数ステップで簡単にeスプール フレックスの外側と巻取ハウジングにはめ込める。これにより、ケーブルを自在に取り回すことができ、使用後は素早くきれいに収納できる。

 手動でケーブルを巻取る低コストバージョンと、ブレーキとスプリング駆動のリターン機構を備えた自動巻取りバージョンの2種類を用意。ケーブル交換はいつでもスピーディーに行え、ケーブル直径5~8mmで最長15m、ケーブル直径8~11mmで最長10m、ケーブル直径11~15mmで最長5mの3種類のサイズをラインナップしている。
 

eスプール フレックス

 

・クリーンルーム対応製品の開発強化

 クリーンルーム対応の新提案としては、個別に接続可能なケーブルチャンバーで構成され各チャンバーに1本以上のケーブルを挿入することができる「eスキン フラット single pods」と、やわらかい材質で<200mmの低い取付高さ、ジッパー式開閉により組立・取付が迅速な「eスキン ソフトSK20シリーズ」を開発。いずれもクリーンルーム対応、ISOクラス1に準拠している。

 イグスではこのほど、こうしたクリーンルームでの使用に適したモーション・プラスチック製品の開発を促進する目的で、フラウンホーファーIPA(生産技術・オートメーション研究所)の協力のもと、ISOクラス1準拠のクリーンルームシステムを備えた独自のクリーンルームラボを設置した。粉塵対策の最高レベル基準を満たさなければならない半導体製造向けのケーブル保護管「エナジーチェーン」や可動ケーブル「チェーンフレックス」などの製品を実条件下で試験することが可能で、新製品の開発期間短縮が図れる。
 

ISOクラス1準拠のクリーンルームシステムを備えた独自のクリーンルームラボ

 

スマートプラスチックの新提案 ・故障を予知してメンテナンス推奨時期を知らせる「イグリデュール製isenseすべり軸受」

 「ハノーバーメッセ2019」でプロトタイプとして紹介した、状態監視・寿命予測データを収集するセンサー類「isense」付きのすべり軸受を、今回標準製品として①イグリデュール材質の中で最も汎用的な材質「イグリデュールG」、揺動・回転機構向けの「イグリデューP210」、汎用性の高い長寿命タイプの「イグリデュールJ」、食品機械向け、FDA・食品衛生法準拠の「イグリデュールA180」、建設機械や農業機械など高荷重条件向けの「イグリデュールQ2E」という5種類のイグリデュール材質で開発した。上記すべての製品で内径20mm、30mm、40mmの3サイズを用意、その他のサイズや材質は今後拡充していく予定。食品産業や繊維機械、フォークリフト、建設機械等でインテリジェントなisenseすべり軸受を使用することで、摩耗状況を監視し故障を予知してメンテナンス推奨時期を通知する、耐久性に優れた無潤滑ソリューションを実現する。

 isenseすべり軸受のシステム構成要素として、耐油性・耐クーラント性のPUR 外被ケーブルを1m、2m、5m、10mの4種類の長さで、コネクタは2種類を用意、センサーで計測されたデータは様々な方法でユーザーのシステムに統合できる。イグスではデータ取得用に3種類の装置を提供しており、ユーザーは要望に応じて最適なデータ取得方法を選択できる。一つ目はユーザー自身が手動でデータを取得する方法、二つ目はすべり軸受の状態を赤/緑で表示するディスプレイ付制御ユニットを機械に取付ける方法。三つ目は予防保全のためのデータを集中管理するコミュニケーションモジュール「icom.plus」に接続する方法で、ラジオモジュールが通信モジュールに無線でモニタリングデータを送り、その後データはIoT、クラウドシステム、ユーザーのネットワークシステムに統合される。
 

イグリデュール製isenseすべり軸受

 

ローコストオートメーションの新提案 ・ロボット用7軸システム

 Covid-19における省人化、自動化の要請に応えられる低価格ロボット、低価格自動化システムといったローコストオートメーションとして、「ハノーバーメッセ2019」で披露した6軸低価格ロボット「ロボリンクDP」などと組み合わせることで、ロボットの7軸として機能する直動システムのアダプターキットを開発した。7軸目としてストローク長さ3000mmまで可能な「リニアアクチュエータZLW-20」を使用することで、ロボットの作業領域を最大4倍まで拡大できる。リニアアクチュエータZLW-20、ロボリンクDPともに完全無潤滑で稼働できるため、潤滑メンテナンスフリーで長期にわたりスムースな動作を実現する7軸ロボットが構成できる。

 今回さらに、ガントリー、ロボリンク、パラレルリンクロボットをプログラミングするためのソフトウェアと、それらロボットを制御するためのコントローラをセットにした「イグスロボット制御システム」を用意した。オンラインで無料プログラミングソフトが利用可能で、誰でも使える直感的な操作性を実現している。

 日本においてもCovid-19の感染拡大に伴いマスク製造やフェイスシールド製造といった医療分野への異業種からの参入が進んできているが、生産システムの構築を急ぎたい、作業者なしの自動化を低コストで進めたいといったニーズから、マスク製造工程における検査・仕分けのためのピック&プレースや、包装作業などに上述のローコストオートメーションの採用が進んできている。
 

6軸ロボリンクDPと7軸目の直動機構リニアアクチュエータZLW-20アダプターキットの組み合わせ

 

kat

ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2020年5月号「特集1:自動車」「特集2:食品加工」が発行!

3年 11ヶ月 ago
ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2020年5月号「特集1:自動車」「特集2:食品加工」が発行!admin 2020年05日25日(月) in in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第24号となる2020年5月号が5月25日に小社より発行された。

 今号は、特集1「自動車」、特集2「食品加工」で構成。

 「自動車」特集では、ICEの燃費改善や電動車両の電費削減に貢献するトライボロジー的な取組みを広く紹介する。「食品加工」特集では、加工プロセスの生産性を高めつつ「食の安全」を確保するための食品加工機械の潤滑技術・潤滑管理技術や表面改質技術などを広く紹介する。

特集1:自動車

◇内燃機関のトライボロジーに関する産学連携研究の変化・・・東京都市大学 三原 雄司、トヨタ自動車 菊池 隆司
◇自動車用エンジンおよび電動パワートレインにおける最新のトライボロジー技術・・・日産自動車 村木 一雄
◇マルチボディダイナミクスによる軸受およびシステムシミュレーション・・・エムエスシーソフトウェア 野村 越紀
◇磁性流体・ペルチェ素子・絶縁放熱基板の利点を活かした自動車分野での応用・・・フェローテック 水杉 一史 氏、八田 貴幸 氏、廣田 泰丈 氏、二ノ瀬 悟 氏、鐘 享璟 氏 に聞く

特集2:食品加工

◇食品機械の生産性・安全性向上を実現する潤滑/無潤滑技術・・・編集部
◇食品製造設備における微粒子投射処理の効果・・・サーフテクノロジー 西谷 伴子
◇ビタミンEの潤滑油向け酸化防止剤への適用・・・BASFジャパン 柳原 章仁

連載

注目技術:電気自動車で求められるベアリンググリース技術・・・ティムケン

トピックス

日本トライボロジー学会、2019年度学会賞を発表

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admin

ジェイテクト、ECUのグローバル開発体制を強化

4年 ago
ジェイテクト、ECUのグローバル開発体制を強化kat 2020年05日13日(水) in in

 ジェイテクトの連結子会社KOYO CANADA(KCI)は5月8日、KSR International(KSR)が保有する電子制御ユニット(ECU)開発拠点Halifax R&D(Halifax)を譲受した。ジェイテクトはこれにより、自動車部品事業(ステアリング、駆動)のグローバルなECU開発体制を強化、電子関連部品の一層の高性能化に取り組んでいく。

ECUの製品イメージ

 

 自動運転化対応、ステアバイワイヤ、高出力システムなどの新規システムや要求拡大に対応するため、冗長設計、機能安全設計、高電圧対応など電動パワーステアリング(EPS)に関連する技術ニーズはより高度化し、ユーザーである自動車メーカーごとにそのニーズは多様化している。

 Halifaxは従来から欧米市場向けにH-EPS用のMCU(モーターとその作動を制御するECUが一体となったモーターユニット)を開発するなど、ステアリング業界で15年以上の市場実績を重ねてきた。また、近年の高電圧システムの要求に対応する高電圧対応のECUの開発も進めている。

 ジェイテクトでは、ハードウェア/ソフトウェア/機能安全など電子部品の総合技術を持つHalifaxをグローバル拠点に加えることで、ステアリングだけでなく駆動部品も含む自動車用電子部品用ECUのグローバルな開発体制の強化を実現した。

 具体的には今回の開発拠点譲受により、北米での自動車部品用ECU開発のリソース増強が可能となり、欧米を含む既存顧客へのサポート体制を充実するとともに、乗用車だけでなくオフロード車両用を含めた新規商談に向けた、開発体制を整備できた。

 同社では今後、ステアバイワイヤや高出力システムなど新規システムの開発を強化し、欧米OEMへのステアリング製品の供給体制のさらなる強化を図っていく。

 ジェイテクトでは、「Halifaxに限らず、ジェイテクトIT開発センター秋田や、光洋電子工業などの国内グループ会社、北米、欧州、中国、インドなどの海外開発拠点、他社との合弁会社であるJ-QuAD DYNAMICSとも力を合わせ、自動運転対応技術の先行開発、MCU内製化などの商品力強化をさらにスピードアップして推進し、顧客のニーズに応える製品開発を行っていく」としている。

kat

THK、コンパクトボールスプラインの 受注を開始

4年 ago
THK、コンパクトボールスプラインの 受注を開始kat 2020年05日12日(火) in

 THKは、ボールスプラインLF-X形の新シリーズとして、コンパクトボールスプライン「LFK-X/LFH-X形」の受注を開始した。新製品は形状がコンパクトなボールスプラインで、装置の構成部品を小さく、軽量化できることを強みとし、用途に応じた豊富な軸径サイズを新たに用意している。

コンパクトボールスプライン「LFK-X/LFH-X形」

 

 新製品は既存製品LF-X形より芯高さが低く設計されているため、周辺部品を小さくして装置をコンパクトに設計したい箇所に最適。

コンパクト設計

 

 また、フランジ面積が小さくカットされているため、既存製品の丸フランジタイプLF-X形よりもスプラインナットの質量が小さくなり(同社比10~15%減)、軽量化を図ることができる。

 スプライン軸の軸径サイズはφ5~φ30まで9サイズを展開し、スプラインナットは角型(LFK-X形)と小判型(LFH-X形)の2種類をラインナップしている。
 

ラインナップ

 

kat

フェローテック、磁性流体・ペルチェ素子・絶縁放熱基板の利点を活かし自動車分野で応用・展開へ

4年 ago
フェローテック、磁性流体・ペルチェ素子・絶縁放熱基板の利点を活かし自動車分野で応用・展開へkat 2020年5月12日(火曜日) in

 フェローテックは2018年1月に「オートモーティブプロジェクト」を立ち上げた。

 それから3年目を迎えた本年4月にはオートモーティブプロジェクトが組織として独立、自動車のマーケットの部門横断的な攻略が本格化してきている。

 この間、自動車用温度調節シート向けで多くの採用実績を持つ「サーモモジュール(ペルチェ素子)」や、創業の技術であり車載スピーカーで実績のある「磁性流体」、さらには自動車のエンジンやモータ、パワーステアリング、ヘッドランプなどの制御装置の基板として採用されている絶縁放熱基板を中心に、自動車市場の様々な課題へのソリューションを提起し、徐々に具体的な適用に向けた検討案件が増えている。

 今回、それらコア技術の適用によるメリットと、様々な利点を活かした自動車分野での各種課題解決のためのソリューションについて、同社オートモーティブプロジェクト長の水杉一史氏、同プロジェクト課長の二ノ瀬 悟 氏、鐘 享璟氏、サーマルマテリアル部長の八田貴幸氏、マグネティックマテリアル部長の廣田泰丈氏に話を聞いた。
 

左から、八田 氏、鐘 氏、水杉 氏、二ノ瀬 氏、廣田 氏

 

フェローテックのコア技術 磁性流体

 磁性流体は、流体でありながら外部磁場によって磁性を帯び、磁石に吸い寄せられる機能性材料で、磁性微粒子、界面活性剤、キャリアとなるベース液(潤滑油)からなる。直径約10nmの極小の酸化鉄粒子が、凝集を防ぐ界面活性剤で被膜され、安定的に分散したコロイド状の液体となっている。

 自動車分野では、磁性流体の放熱効果やダンピング効果などによる高音質化や小型化などからスピーカーに採用されている。

 

 

ペルチェ素子

 ペルチェ素子は、対象物を温めたり冷やしたりする半導体冷熱素子のことで、N型とP型という異なる性質を持った半導体素子を組み合わせたモジュールに、直流の電気を流すと熱が移動し、一方の面が吸熱(冷却)し、反対の面が放熱(加熱)するというペルチェ効果を応用したもの。電源の極性を逆にすると、吸熱と放熱を簡単に切り替えることができる。

 ペルチェ素子のこうした特性を活かし自動車分野では温調シートで多数の実績を持つ。
 

 

絶縁放熱基板

 絶縁放熱基板は、セラミックス基板に銅回路板を接合したもので、放熱性・絶縁性・耐久性が高いアルミナセラミックス基板に銅製(Copper)の回路と放熱板を共晶反応で直接接合させた構造のDCB(Direct Copper Bonding)基板を自社開発し世界第2位のシェアを持つ。

 最近では、窒化ケイ素や窒化アルミニウムを基板とした、より信頼性の高いAMB(Active Metal Brazing:活性ロウ付け法)方式の技術を開発。新工場に量産設備を導入してサンプル出荷を開始している。

 自動車分野では、電動パワーステアリング用など各種モータの制御用インバータの基板などで採用されている。

 

 

 

自動車における磁性流体適用のメリットと課題解決のソリューション

 磁性流体の自動車分野でのアプリケーションとしては、圧倒的に高いシェアを持つ車載用スピーカー向け磁性流体に加えて、セミアクティブダンパーやリニア振動・触覚(ハプティック)デバイスへの応用など、新しい用途での検討が進んできている。

 ここでは、2018年以来、3回にわたり出展した「EV/HEV駆動システム技術展」を通じて具体的なサンプル要求が増えてきている「感温性磁性流体を用いた熱輸送システム」の利点と、自動車の課題解決のためのソリューションについて紹介する。

感温性磁性流体を用いた熱輸送システム ◆自動車での課題と感温性磁性流体適用のメリット

 自動車においては、エンジンのオーバーヒートを防止するためのラジエーターによる冷却など、熱マネージメントが早くからなされているが、電気自動車(EV)など電動車両の本格化に伴い、例えばバッテリーとなるリチウムイオン電池が温度にセンシティブであり、高温/低温のいずれにおいても特性が大きく変化したり劣化が進みやすいといった、熱関連の新たな問題が顕在化してきている。

 バッテリーやインバータなどの発熱を伴う機器の冷却において、熱の集中を防ぐためのループ循環系の熱輸送システムを構築するには、一般的に流体を循環させるためのポンプといった機械的駆動力が必要となり、そのための設置スペースが必要となる上、バッテリーの消費にもつながる。さらにポンプなどの重量が加算されることで電力消費(電費)は増大する。

 これに対しフェローテックでは、温度に反応して磁化が大きく変化する「感温性磁性流体」を開発。これを用いた熱輸送システムを提案している。

 感温性磁性流体を用いた熱輸送システムでは、磁性流体を封入した流路に、冷却される区間の「低温部」と加温される区間の「高温部」を設けて、磁性流体に温度勾配を作る。それから、低温部と高温部の間に磁石を設置。高温部の磁性流体中の磁性微粒子は温度上昇に伴って磁化が減少する一方で、低温側の磁性流体は磁化が変わらずに磁石へと強く引き寄せられる。これによって、低温側から高温側へと感温性磁性流体の流れ(駆動力)が発生して、流体の自己循環が可能となる。つまり、機械的な動力なしに、熱を輸送できるというわけである。

感温性磁性流体を用いた熱輸送システムの駆動メカニズム

 

 局部的に熱が偏在することによる問題を低減するため、全体的な熱マネージメントを進めたい自動車メーカー、電源を使用せずに熱効率を高めるヒートパイプを構築して自動車メーカーに提示したい自動車部品メーカー、さらには発熱密度の増大によって処理速度の低下や高温による故障など多くの熱問題を抱える電子機器メーカーなどから、具体的な引き合いが増えており、実用を想定した研究が活発になっている。

 すでに挙げたバッテリーやインバータをはじめ、自動車内部には多くの場所で熱源が存在するため、熱的に相互を補填し合うことで効率を追求することが重要になってくる。例えば冬場の暖房は、熱機関駆動の自動車では容易にエンジンからの熱を活用できるが、EVではPCTヒーターなど電熱線で発熱させることなどにより冬場の電費効率は著しく下がるが、他の部位からの熱源を活用することで効率改善が期待できる。後述のペルチェ素子とのコンビネーションなど、他の熱管理技術との組み合わせによっても、さらなる領域での活用を考えることができる。

 また自動車からの水平展開として、熱が問題となる身の回りの課題にも着目すべきである。身近ではスマホ、ノートPC、フラットパネルTVの発熱などは日常気になるものであるし、産業分野においてもLED、レーザー、ロボット、製造装置、サーバーといったように、チラーなどで強制的に冷却を行っている用途に展開できると考えられている。

 

感温性磁性流体を用いた熱輸送システムの実験での駆動確認感温性磁性流体を用いた熱輸送システムの加熱位置による駆動の向き

 

◆実用に向け大きな進展となる新たな感温性磁性流体を開発

 感温性磁性流体の基礎研究は国内外の拠点で長年進められてきたが、製品レベルの設計開発は約5年前から加速している。磁性流体は前述のとおり、磁性ナノ粒子、界面活性剤、キャリアとなるベース流体からなるが、感温性磁性流体のベース流体にはケロシンなどの有機溶剤が主に用いられてきた。

 有機溶剤が用いられてきたのは、磁性ナノ粒子を分散することが比較的容易であるためであるが、ガソリンを使う内燃機関とは違い、EVや家電製品では、そうした可燃性流体の使用は避けたいとの要望が強く、不燃性流体をキャリアにした感温性磁性流体は長年の目標とされてきた。

 フェローテックでは今回、磁性ナノ粒子および界面活性剤の組成、分散に関するコーティング技術・工程ノウハウを駆使して、初めての「水ベース感温性磁性流体」を開発することに成功した。水単体は当然のことながら0℃で凝固し100℃で沸騰するが、独自の配合技術によって、最新の開発試作品では-70℃という凝固点を実現。概ねの用途における使用温度範囲は-40℃~+80℃程度のため、低温側の要求も高温側の要求もカバーできると見る。

 ここでのコーティング技術は、10nmという極めて小さいナノ磁性粒子を個々に界面活性剤で覆うもので、これによって各磁性ナノ粒子が凝集することも沈降することもなく、非常に優れた分散性を実現できる。本来、水は極性が強い特殊な液体のため、安定な分散を得るのは難しい材料であるが、今回は開発グループにより比較的最近に見出した材料・工程を積極的に適用し、有機溶剤ベースと比べても遜色ないレベルに分散性に優れた水ベース感温性磁性流体を世に出せることに至った。

 また、磁性流体中の磁性ナノ粒子の濃度は、熱輸送のために駆動させるためには重要なパラメータである。すなわち粒子濃度が高いほど、ヒートパイプ中の感温性磁性流体の駆動力は強まることになる。スピーカーなど一般産業機器向けの磁性流体の粒子濃度は100~200ガウス程度、また水ベース磁性流体としての粒子濃度上限も300ガウス程度がこれまでの上限であったが、今回開発した感温性磁性流体は、これまでに類を見ない600ガウス以上という高い粒子濃度を達成。

 また、同社米国拠点では、別の用途向けの水ベース磁性流体をtonレベルで大量生産できる施設を所有しており、量産時の供給能力とコスト対応能力も充分に確保できているものと見られる。

 一方、具体的な熱輸送システム全体の効率を上げるには、高性能の感温性磁性流体を使用するだけでなく、熱輸送の効率を高めるために適切に温度勾配を持つように設計されたループが構築されることになるが、そういった個々の熱輸送システムでの性能を保証することも材料メーカーであるフェローテックの責務の一つである。そのため同社では、駆動環境による熱輸送効率の違いなど、熱輸送実用に向けた各種試験データを取得し知見を高める活動も大学と共同で進めている。

 直近では、本年6月をめどに開発品のサンプル販売を開始すべく、最終的な準備に取り組んでいるところだ。一方、長期的な取組みにはなるが、水ベースの感温性磁性流体という今まで世の中にない全く新規の製品となるため、分類や試験評価手法を含めた国際標準化についても研究機関と協力しながら進めていく考えだ。

自動車におけるペルチェ素子適用のメリットと課題解決のソリューション

 ペルチェ素子を用いた自動車でのアプリケーションとしては、自動車用温度調節シート向けで多くの採用実績を持つほか、近年では、海外の自動車OEMで採用実績がある温度制御が可能な車載用カップホルダーや、バッテリーおよびキャビンの温調システム、車載カメラのCMOSイメージセンサ用クーラーなどで引き合いが増えてきている。

 ここでは、具体的な採用に向けて検討が進んできているバッテリーの温度コントロールのアプリケーションを中心に、ペルチェ素子採用の利点と、自動車の課題解決のためのソリューションについて紹介する。

バッテリー/キャビンの温度コントロール ◆温調システムとしての高い効率

 ペルチェ素子は、冷却・加熱の双方に対し既存の手法に比べて、微妙な温度制御が可能なことや電力消費抑制につながる軽量・小型化が図れるなど優位性が多い一方で、特に過熱に使用した際の吸熱の利得が大きいことはあまり知られていない。

 ペルチェ素子から放熱される熱量(Qh)は、吸熱量(Qc)と総消費電力(VI=ジュール熱)との総和となるため、ジュール効果によって発生する熱エネルギー(ジュール熱)に比べ、小さな電気で大きな加熱ができる省エネヒーターを構成できる。フェローテックでは、キャビンヒーターにおけるQcの利得による効果を周知させ、自動車分野での適用を進めていく考えだ。

キャビンヒーターにおけるQcの利得効果

 

 一方で、ペルチェ素子の放熱面の温度(Th)と吸熱面の温度(Tc)が逆転すると冷却効率(COP)が極端に上がる、というメリットも浸透しているとは言えない。特に、夏場にペルチェ素子の放熱側である環境温度Thが30℃でペルチェ素子の吸熱面となるバッテリーの温度Tcが60℃といった場合には、温度差が-ΔTとなりCOPは200%、250%という高効率クーリングシステムを構成できる。同社では、こうした高効率の温調システムとしてのペルチェ素子の有用性についても訴求していく。
 

バッテリークーラーにおけるκ(Th-Tc)の利得効果:TcがThよりも高い場合、熱伝導による損失κ(Th-Tc)が逆に利得となり効率が大きく改善

 

◆パーソナル冷暖房システムとしてのメリット

 自動車の断熱性能には限界があり、窓が増えたり大型車になると表面積が大きくなるため、放出され損失される熱も大きい。つまり、エアコンでは熱貫流量Qが、熱貫流率Kや、車内温度Tiと外気温Toとの差、冷暖房の対象となる自動車表面積Aによって左右されるため、自動車の燃費や電費の観点からは効率の良い冷暖房システムとは言えない。

 そこで、燃費や電費を抑制する観点や室内の快適性を高める観点から、ペルチェ素子を採用した現在のシート温調システムの進化系のような、パーソナルに乗員の体を温めたり冷やすというシステムも一部検討されており、そうした中でペルチェ素子採用の可能性も拡大してきている。

 エアコンを用いた冷暖房は上述のとおり表面積に比例して熱効率のロスが発生することに加えて、たとえばキャビンの温度が低くエンジンおよびエアコンユニットが冷えている状態で暖房運転を開始した場合、エアコンユニット内の空気を暖めてから暖かい風が出てくることから、数分程度の立ち上がり時間を要する。これに対してパーソナルな冷暖房システムであるペルチェ素子では、システムがコンパクトなこともあり、数秒でドライバーや同乗者の体を温めたり冷やしたりすることが可能となっている。

 自動運転ではドライバーもリラックスした状態に置かれ、室内の快適化がますます要求されてくることから、欧州の高級車ではすでに、アームレストや屋根やダッシュボードにまでペルチェ素子を搭載してパーソナルな冷暖房を実現しようという取組みも始まっている。同社では、“高級ホテル空間”とでも言える車室内の快適性向上では、ペルチェ素子を用いたパーソナル温調システムの果たす役割は増えてくるものと見る。

 

自動車における絶縁放熱基板適用のメリットと課題解決のソリューション

 パワー半導体用の放熱基板として用いられるDCB基板は、内燃機関車からHEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)といった電動化、さらには先進運転支援システム(ADAS)の搭載などを背景に、需要の増加するモータ制御用インバータ回路の基板として引き合いが増えてきている。さらに、高圧バッテリーに蓄えた直流電力を交流に変換し走行用モータを駆動するための動力変換装置IGBTなど放熱が必要な新しいアプリケーションでも、攻略を進めている。

 特に窒化ケイ素基板を用いた新開発のAMBは、高い信頼性に加えて、車載のパワーデバイスとして用いられる炭化ケイ素(SiC)と熱膨張係数の点で相性が良いといったことから、車載向けの各種アプリケーションで引き合いが増えてきている。自動車メーカーからは、-55~300℃といった温度変化を1000~2000サイクル実施しても、銅パターンのはく離やセラミックス基板のクラックが発生しないといった、強度の向上や寿命の延長を要求されており、設備や工程の改善、技術の確立を急いでいる状況だ。

 

今後の展開

 自動車分野では電動化へと向かう大きな変革の中にあって、新規参入の機会が増えてきている。フェローテックでは、ペルチェ素子、磁性流体、絶縁放熱基板という各製品事業では自動車分野での採用実績も少なくないものの、自動車の新しい潮流の中での新たな課題に対して、部門独立し人員も増強された横断的な組織である「オートモーティブプロジェクト」として、最適なトータルソリューションを提供して課題解決に努めつつ事業を拡大していく。

 同社では、上述のような具体的な案件を成約させることで今年度は数千万円程度のビジネス獲得から始めて、3年後には50億円程度のビジネスに育てていく考えだ。
 

●フェローテックの自動車関連事業をさらに知るには

kat

日本精工、電動車駆動モータ用高速回転玉軸受を開発

4年 ago
日本精工、電動車駆動モータ用高速回転玉軸受を開発kat 2020年05日08日(金) in in

 日本精工は、電動車駆動モータ用高速回転玉軸受を開発した。開発品は、駆動モータの大幅な高速化を実現可能とし、電動車の燃費・電費の向上、航続距離延長、快適性向上に貢献する。同社は、本製品の売上として2030年に100億円を目指す。

電動車駆動モータ用高速回転玉軸受

 

 温室効果ガス排出等による環境問題が深刻化する中、環境負荷が小さい電動車の普及が期待されているが、電動車普及に向けた重要課題の一つが航続距離の延長で、より大きな電池を搭載できるスペースが求められている。

 近年、電動車用駆動システムの小型・軽量化と駆動モータの高出力化ニーズを背景に、モータ支持用の玉軸受には、これまで以上に高速回転性が要求されている。玉軸受を高速で回転させた場合、発熱の影響による潤滑不良に起因する焼付きの発生、また遠心力の影響による保持器変形に起因する破損が課題だった。

 これに対し開発品では、耐焼付き性に優れる独自開発のグリースを使用することで、発熱による潤滑不良を抑制し、従来品に比べ寿命の延長を可能にした。

 また、新形状の保持器を開発。保持器先端部を薄くすることで軽量化し、遠心力の影響を低減すると共に、保持器根元部の剛性を高めることで、高速回転時における保持器の変形抑制に貢献。本形状の採用により、高速回転時の保持器変形が大幅に低減する。

 さらに、高速回転時の保持器変形を抑制する、耐熱性と剛性に優れた樹脂材料を開発。本樹脂材料は、高速回転時に遠心力の影響による保持器の変形を大幅に低減する。

 独自開発のグリースと新たに開発した樹脂保持器の効果により、開発品では、dmN(軸受のピッチ円径dm×回転数n)= 140万(内径35mmの軸受で30000rpm)の高速回転を可能にする。

 

 開発した軸受では電動車駆動モータの大幅な高速回転化が可能となるほか、駆動モータの高出力化を実現するとともに、モータユニットの小型・軽量化をはじめ、電動車の燃費・電費の向上、航続距離延長や快適性向上にも貢献する。同社では、2020年末に、さらなる高速回転に対応する軸受(160万dmN)のプレスリリースを予定している。

kat

日本ベアリング、高精度・高剛性アクチュエータの短納期対応を開始

4年 ago
日本ベアリング、高精度・高剛性アクチュエータの短納期対応を開始 in kat 2020年05日08日(金) in in

 日本ベアリングは、高精度・高剛性が特長の、スライドガイドと精密ボールねじを一体化したコンパクトなアクチュエータ「BG形」について、実働10日以内の出荷という短納期対応を開始した。数量5セットまで対応する。

BG形アクチュエータ

 

 BG形アクチュエータは、曲げモーメントやたわみに対する剛性が大きいU字形状のガイドレールを採用しつつ、直動運動部に大きな負荷が受けられる4条列4点接触構造を採用することで、コンパクト設計にもかかわらず高い剛性と、高い繰返し位置決め精度(上級±3μm、精密級±1μm)を実現する。高剛性化によって、2、3軸での片持ち仕様にも最適。

BG形アクチュエータの高い剛性

 

 短納期対応の形番はBG15、BG20、BG26、BG33、BG46、BG55で、ロングブロック、ショートブロック、カバー有無、ローハウジングなど様々なタイプを用意している。

ブロックタイプ/カバー有無/ローハウジング

 

 なお、低コスト仕様の高剛性・高精度アクチュエータ「BH形」についても、実働10日以内での出荷に対応している(数量10セット以下、形番BH15、BH23、BH30、BH45)。

kat

日本ベアリング、高精度・高剛性アクチュエータの短納期対応を開始

4年 ago
日本ベアリング、高精度・高剛性アクチュエータの短納期対応を開始kat 2020年5月7日(木曜日) in

 日本ベアリングは、高精度・高剛性が特長の、スライドガイドと精密ボールねじを一体化したコンパクトなアクチュエータ「BG形」について、実働10日以内の出荷という短納期対応を開始した。数量5セットまで対応する。

BG形アクチュエータ

 

 BG形アクチュエータは、曲げモーメントやたわみに対する剛性が大きいU字形状のガイドレールを採用しつつ、直動運動部に大きな負荷が受けられる4条列4点接触構造を採用することで、コンパクト設計にもかかわらず高い剛性と、高い繰返し位置決め精度(上級±3μm、精密級±1μm)を実現する。高剛性化によって、2、3軸での片持ち仕様にも最適。

BG形アクチュエータの高い剛性

 

 短納期対応の形番はBG15、BG20、BG26、BG33、BG46、BG55で、ロングブロック、ショートブロック、カバー有無、ローハウジングなど様々なタイプを用意している。

ブロックタイプ/カバー有無/ローハウジング

 

 なお、低コスト仕様の高剛性・高精度アクチュエータ「BH形」についても、実働10日以内での出荷に対応している(数量10セット以下、形番BH15、BH23、BH30、BH45)。

kat

日本トライボロジー学会、2019年度学会賞を発表

4年 ago
日本トライボロジー学会、2019年度学会賞を発表kat 2020年4月28日(火曜日) in

 日本トライボロジー学会(JAST)はこのほど、「2019年度日本トライボロジー学会賞」の受賞者を発表した。ベアリング、潤滑管理関連では、以下などが受賞した。

技術賞

「建設機械用オイル状態監視システムの開発」秋田秀樹氏、倉迫 彬氏、櫻井茂行氏(日立建機)

 本研究は、油圧ショベルの実稼動下におけるセンサを用いたオイルの状態監視技術に関するものである。近年、建設機械業界ではICT(情報通信技術)を活用した機械稼動情報提供サービスを逐次開始している。情報提供サービスのーつで潤滑油の継続的な状態監視が行われているが、現在の潤滑油の状態監視は一定間隔でオイルを採取し分析を行うオフライン分析手法であるため、状況に応じた的確なサービスを提供できないことや、故障前駆現象に起因する突発的なオイル性状変化を捉えることが難しいのが実情である。この解決策としてセンサを用いたオンラインでのオイル性状の常時監視が求められている。

 そこで本研究はセンサによるオイルの状態監視、およびその運用に関する技術についての検討を行った。主な検討内容は、建設機械に対応可能なオンライン形式の性状監視センサの選定、そのセンサの最適な設置方法の検討、これまでオフラインで行っているオイル分析のオイルの汚染、劣化、オイル中の摩耗を示す指標との相関関係についての検証である。この結果を受けて、計測値の統計的処理をはじめ、IoT(モノのインターネット)を活用したセンサデータ収集ロジック、従来から行われているオイル分析手法を基とした状態判断基準の作成、これらを用いた自動オイル性状判断ロジック構築を行い、さらにWeb等デジタルデバイスを活用した顧客への情報通知システムを整備することでオイル状態監視の運用システムの構築、運用を行った。これにより潤滑油状態の“見える化”が可能となり、顧客や同社にとってスピーディな対応が可能となったのみでなく、顧客で使用している建設機械のダウンタイム低下、機体ダメージの低減、適切なサービスの提供などにより一連のエコシステムの構築ができた。

 今回のオイル状態監視システム(ConSite OIL)は建設機械業界としては初のシステムである。今後は同社内の機種展開を図るのみではなく、トライボロジー的観点から潤滑油の状態監視をキーとした機械の稼働状監視保全技術の最適化に寄与していく。 

建設機械用オイル状態監視システムの特徴(画像提供:日立建機)

 

奨励賞

「EHD接触における膜厚と破断率の同時測定-グリース潤滑の場合」前田成志氏(日本精工)

 本研究は、電気インピーダンス法を用いて、転がり軸受における接触域内の膜厚と破断率の同時測定を行い、油潤滑下とグリース潤滑下の比較から、低速度域におけるグリース潤滑のメカニズムを考察したものである。
近年、地球温暖化を背景として、軸受のさらなる低トルク化が求められており、潤滑剤の粘度を下げる、あるいは潤滑剤の封入量を減らすといった手段が講じられている しかし、それらの方法はEHD(elastohydrodynamic)接触域における油膜の破断を促し、軸受しゅう動面における様々な表面損傷の原因となる。そこで、研究グループでは、従来の電気インピーダンス法を改良し、EHD接触域における膜厚を光干渉法と同等な精度で測定でき、さらに、破断率も同時に測定できる手法を開発した。本手法は、実際の転がり軸受に適用可能であることから、軸受のさらなる低トルク化と長寿命化を両立する上で非常に重要な技術である。

 本研究では、アキシアル荷重を負荷した深溝玉軸受を用い、内輪の回転数を低速から高速へ変化させた際の軸受トルク、軸受外輪温度および電気インピーダンス法から得られるEHD接触域の平均膜厚と破断率を同時に測定した。潤滑剤には、ウレアを増ちょう剤としたグリースと、その基油(ポリアルファオレフィン油)を用いた。基油の試験から、軸受外輪温度が上昇しない低速度域において、膜厚がHAMROCK-DOWSONの式による理論値と一致し、破断率が上昇する低速度域において、同じタイミングで軸受トルクが上昇する結果を得た。一方、ウレアグリースの試験から、低速度域において、膜厚が理論値および基油の膜厚よりも厚くなり、破断率が上昇しないにも関わらず、軸受トルクが上昇する結果を得た。これらの結果から、基油を用いた場合、低速度域で油膜が破断し、金属接触が生じるため、軸受トルクが上昇したと推察される。一方、ウレアグリースを用いた場合、低速度域において      接触部における増ちょう剤濃度が上昇し、グリースの等価粘度が増加することで軸受トルクが上昇したと推察される。

 以上のように、本研究では開発した電気インピーダンス法を用いて、転がり軸受で広く用いられているグリース潤滑のメカニズムの一端を、実験結果に基づいて考察した。今後、本手法は様々な条件下において、転がり軸受の潤滑メカニズム解明に貢献し、低トルクかつ長寿命を両立する転がり軸受の実現に貢献することが期待されている。 

 

奨励賞

「転がり接触によるピーリングの発生メカニズムとピーリング抑制に及ぼす黒染処理の影響(第1報・第2報)」長谷川直哉氏(NTN)

 自動車や産業機械の摩擦低減の取組みの中で、潤滑油の低粘度化の動向がある。これに伴い、転がり軸受は希薄潤滑条件で使用される機会が増えるため、当該条件での転動疲労はく離のメカニズム解明とその対策技術の確立は機械部品の信頼性向上のための重要な技術課題と考えられる。
ピーリングは希薄潤滑条件で発生する転動疲労はく離の代表であり、大きさが10μm程度の微小はく離の集合体のことを指す。従来の研究から、ピーリングの原因は転動部で油膜切れが起こり、真実接触部の直下に過大な繰返し応力が作用することであると分かっているが、初期き裂の発生メカニズムについては不明な点があった。

 本研究の第1報では、ピーリングのき裂発生メカニズムを転動面の高倍率観察、表面形状と残留応力の測定、および表面粗さ解析の結果に基づいて多面的に考察した。その結果、ピーリングの初期き裂が転動面の塑性変形の繰返しによって形成された切欠き部から発生することを明らかにした。また、転動面に化成処理の一種である黒染処理を行うことでピーリングが抑制される効果についても検討し、黒染品では運転中の表面粗さの低下(なじみ)が促進されるため、相手面の塑性変形が軽減してピーリングが起こりにくくなることを明らかにした。さらに、このなじみの促進が黒染処理時に母材表面の凹凸が小さくなる現象と、転動中に凸部の黒染層が摩耗することの両方によってもたらされることも明らかにした。

 本研究の第2報では、第1報で得られたピーリングのき裂発生メカニズムと黒染処理によるピーリング抑制効果を、転動面の真実接触部直下に繰り返される応力(繰返し応力)の推定結果に基づいて定量的に検討した。繰返し応力の推定では、転動面に生成される3軸の残留応力の影響も考慮している。検討の結果、第1報で得られた結論は繰返し応力の観点からみても妥当性が高いと考えられた。

 上記の研究成果は、ピーリングの発生メカニズムに対する理解を深める新しい知見であるだけでなく、ピーリング対策の指針となる実用的にも有用な知見と考えられる。

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