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ITC Fukuoka 2023(国際トライボロジー会議 福岡 2023)が開催

5ヶ月 1週 ago
ITC Fukuoka 2023(国際トライボロジー会議 福岡 2023)が開催 in kat 2023年11日17日(金) in

 日本トライボロジー学会(JAST)が主催する最大のイベントである「国際トライボロジー会議(International Tribology Conference: ITC)」が9月25日~30日に、福岡市の福岡国際会議場で開催された。
 

ITC Fukuoka 2023の会場となった福岡国際会議場

 

 ITCは4年ごとにJASTが主催する国際会議(2005年までは5年ごと)で、2019年のITC Sendaiに続いての開催となる。ITCでは、理論的研究から実用化を目指した研究までバランスのとれた発表が行われている。特に海外のトライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑の科学技術)関連の国際会議に比べて、自動車分野をはじめ幅広い産業界で活躍するトライボロジー研究者・技術者が多数参加し発表するITCは、世界各国から多くの参加者が集まることで知られている。
今回のITC Fukuoka 2023の会議スローガンである「Reunite,Invigorate, Create an Inspiring Future」は、トライボロジーの仲間たちが出会い、新しいアイデアや開発に関して意見交換し、トライボロジーをより活発に、未来のトライボロジーについて議論する刺激的な機会を提供したいという実行委員会の強い思いを表現。特別シンポジウムではその会議スローガンのもと、「トライボロジーの原理」、「エンジニアリング・トライボロジー」、「トライボロジー解析」、「先進トライボマテリアル」、「バイオインスパイアード・トライボロジー」、「サステナブル社会のためのトライボロジー」の六つのセッションで、14名の著名なキーノート・スピーカー・招待スピーカーによる講演がなされた。

 26日と27日の「プレナリー・トーク」では、英国Imperial College LondonのHugh Spikes氏が「“Reunite: Principles of Tribology” beiZDDP, Down but not Out」と題して、米国Texas A&M UniversityのAli Erdemir氏が「“Reunite: Engineering Tribology” Vanishing Friction by Bridging Fundamental Principles with Scientific Innovations for Real Engineering Applications」と題して、東北大学の久保百司氏が「“Invigorate: Tribology Simulation” Atomistic Tribology Simulations: Recent Advancement and Future Direction」と題して、独Fraunhofer IWSのVolker Weihnacht氏が「“Invigorate: Advanced Tribology Material” Development of High-performance ta-C-based Coatings for Tribological Applications Using Laser-arc Technique」と題して、講演を行った。

 また、28日のプレナリー・レクチャーでは、東京大学の井出 哲氏が「Physics of Fast and Slow Earthquakes」と題して、講演が行われた。
 

プレナリー・レクチャーの様子

 

 トピックスとしてはまた、「Tribology fundamentals(トライボロジーの基礎)」、「Material and surface engineering(材料・表面工学)」、「Manufacturing and mechanical components(ものづくりと機械要素)」、「Lubrication and lubricants(潤滑および潤滑剤)」、「Micro-nano- and molecular tribology(マイクロ・ナノ・分子トライボロジー)」、「Tribosystems(トライボシステム)」、「Biotribology(バイオトライボロジー)」、「Education of tribology(トライボロジー教育)」などをテーマとするオーガナイズドセッション/ポスターセッションが行われた。
 

Lubrication and lubricantsセッションの様子

 

 さらにシンポジウムとしては、「Instabilities in Tribology:Phenomena, Analyses, and Countermeasures(トライボロジーにおける不安定性:現象、解析および対策)」、「Mesoscopic Tribology Bridging the Gap between Nano- and Macro-scale(ナノ領域とマイクロ領域のギャップを埋めるメゾスコピック・トライボロジー)」、「Lubricants for Contributing to Carbon Neutrality and Sustainable Development Goals(カーボンニュートラルとSDGsに貢献する潤滑剤)」、「Latest Technology Trends for Lubricating Greases(潤滑グリースの最新技術トレンド)」、「Advances in Sealing Technology Contributing to Environment(環境に貢献するシール技術の進化)」、「The 4th Czech-Japan Tribology Workshop(第4回チェコ-日本トライボロジーワークショップ)」、「Early Career Tribologists Symposium(JAST-STLE Joint Session)(若手トライボロジストシンポジウム:日米トライボロジー学会ジョイントセッション)」、「JAST-GfT Joint Symposium(日独トライボロジー学会ジョイントシンポジウム)」といったテーマにおいて最新の発表がなされた。
 

Early Career Tribologists Symposium(JAST-STLE Joint Session)の様子

 

 会期中は、34社による企業展示が行われた(写真はその一部で、五十音順)。
 

Rtec-Instrumentsのブース

 

出光興産のブース

 

Optimol Instruments Prüftechnik/パーカー熱処理工業のブース

 

協同油脂のブース

 

大同メタル工業のブース

 

ナノコート・ティーエスのブース

 

パーク・システムズ・ジャパンのブース


 

PCS Instruments/島貿易のブース

 

 会期中にはまた、スポンサー企業によるランチョンセミナーが実施され、Rtec-Instrumentsは「New tribology testers for EV (Electric Vehicle) development」と題して、同社の多機能トライボメーター(摩擦摩耗試験機)や二円筒/三円筒転がり疲労・耐ピッチング性評価試験機、真空トライボメーター、フレッチング試験機などを紹介した。
 

Rtec-Instrumentsのランチョンセミナーの様子

 

 Optimol Instruments Prüftechnik/パーカー熱処理工業は、「Efficient and reliable tribotestings - Optimol Instruments is your partner for today's and future challenges」と題して、eAxleの要求する摩擦特性や耐摩耗性、耐フレッチング摩耗特性、材料適合性、電気特性などを試験評価できるSRV®5の諸機能について試験データをまじえて紹介した。
 

Optimol Instruments Prüftechnik/パーカー熱処理工業のランチョンセミナーの様子

 

 PCS Instruments/島貿易は、「Leaders in Tribology Test Equipment: Designing for new challenges」と題して、ITC Fukuoka 2023で国内初披露となった通電環境下での試験評価が行えるトラクション試験機「MTM-EC」と多環境対応摩擦試験機「HPR」を紹介。EVや水素エンジン車など新分野でのトライボロジー試験に有用であることを豊富な試験データをまじえて紹介した。
 

PCS Instruments/島貿易のランチョンセミナーの様子


 

kat

単行本『小集団から始める技術経営 ―企業内イノベーションの実践書―』が11月10日に発刊

5ヶ月 2週 ago
単行本『小集団から始める技術経営 ―企業内イノベーションの実践書―』が11月10日に発刊kat 2023年11日13日(月) in

 THK技術本部 事業開発統括部長で技術士(機械部門)の望月廣昭氏による単行本『小集団から始める技術経営 ―企業内イノベーションの実践書―』が、11月10日に当社より発刊された。A5判、 116頁で価格は1650円(税込)。アマゾンから購入できる。表紙・本文中のイラストはいずれも、同社マーケティングPR部 部長の中川 透氏が手掛けている。


 著者は、コア技術をベースに用途開発、新規分野への展開として新たな市場に製品を開発して市場開拓することを主軸に、ビジネス展開を進めてきた。しかし、VUCA時代と言われているように不確実性、不透明性が高まり、新たなモノ・コトを生み出せない、生み出しても事業にならないといった、ジレンマを掲げる中で、イントレプレナー(社内起業家)としての意識を持って本質的な目的に立ち戻り、新規市場・顧客の探索/開拓/展開、価値創造プロセスの仕組みづくり、イノベーション人財育成を試行錯誤しながら実践してきた。

 著者はまた、複数事案のプロジェクトを統括してきた経験や成果、およびこれらの考え方を展開すべく、企業内イノベーションの推進活動を邁進してきた。さらにこの活動を社内全体に浸透させていくには、企業内イノベーションに関する考え方、知見、ノウハウを解説書にすることが必要ではないかと考えるに至った。

 今後、企業の持続的成長や一人ひとりにとってのwell-beingを目的にサステナビリティ、SDGsの推進が不可欠となり、また、DX、GXなどと絡めて社会・顧客課題を解決していくことが求められる中で、本書は、著者の上述の考え方や人財育成、組織変革、最適プロセス開発、パーパス経営、MOT(技術経営)、新規事業におけるイノベーション活動のヒントになるべく執筆、刊行されたもの。

 著者は2018年に、30代・40代の悩めるエンジニアに向けた著書『技術士の目指すところは何か」を第一弾として出版。同書は、企業内エンジニアが、挫折や悩みを抱えた時に、いかにモチベーションを維持していくか、また目的・目標を定めながら使命感・責任感を持って自己スキルをどのように広げて極めていくか、のヒントを書き留めた著書だった。

 著者の第二弾となる本書では、著者が技術経営コンサルタント兼イントレプレナーの視点で新規事業の価値創出を実践し、失敗や成功の体験を積み重ねてきた考え方やプロセス、アセスメント、仕組みづくり、人財育成などの暗黙知を形式知にまとめた。内容は以下のとおり。

第1章 イノベーションの定義
1.1 イノベーション理論を提唱した「シュンペーター」
1.2 サム・パルサミーノ氏報告 Innovate America
1.3 企業にとってのイノベーション
1.4 クリステンセン氏のイノベーション
1.5 イノベーションの総括

第2章 ウェルビーイングとパーパス

第3章 課題発見・問題提起
3.1 社会・環境課題(中長期的な課題)
3.2 顧客課題(短期的な課題)
3.3 企業課題(短期的/中期的/長期的/持続的な課題)

第4章 企業内イノベーションの始め方
4.1 動機
4.2 アプローチ方法

第5章 価値創出の本質的な目的とゴール設定
5.1 本質的な目的
5.2 ゴール設定や出口戦略
5.3 ネバーギブアップ

第6章 価値創出の3条件
6.1 人間
6.2 組織
6.3 プロセス

第7章 戦略思考と戦術思考のツール
7.1 戦略思考ツール
7.2 戦術思考ツール

第8章 経営者視点

第9章 マネージャー視点

第10章 起業家視点
10.1 イントレプレナー(社内起業家)とは
10.2 イントレプレナーシップ(起業家精神)
10.3 イントレプレナー人財に必要なスキルと資質

第11章 探索活動
11.1 探索活動の流れ
11.2 イノベーションマネジメントシステムISO56002;2019の活用
11.3 事例A(顧客と一緒に課題解決)
11.4 事例B(社会課題解決)
11.5 事例C(SDGs、DX推進による社会課題解決)
11.6 事例D(発明、研究から製品化を目指す⇒活動中止)
11.7 新規事業の位置づけ

第12章 深化活動
12.1 市場浸透、顧客浸透
12.2 市場領域の拡大と新製品開発

第13章 用語の解説

第14章 技術経営に関する課題
14.1 AI、IoT、DX、VUCA時代、社会大変革期のR&D戦略
14.2 イノベーション創出のための仕組みとマネジメント
14.3 人、組織、風土とCTOの役割
14.4 トピックスその他.................................................... 110

望月廣昭(もちづき・ひろあき)
1963年4月 山梨県生まれ
1986年4月 THK株式会社入社
リニアモーションの設計・開発、新技術リテーナ入りLMガイド開発(精密工学会技術賞)、マネージメントに従事
2009年7月 クリエイティブプロデューサーとして新規事業開発(航空機市場開拓)に従事
2010年3月 技術士(機械部門)取得
2014年6月 技術本部 事業開発統括部長就任
2018年9月 新規分野への市場開拓、事業拡大に従事
2018年10月 著書『技術者の目指すところは何か』発刊
・専門分野
VE、信頼性設計、プロジェクトマネージメント、機械要素部品の設計、ビジネスプラン、商品企画、マーケティング、コーチング、創造開発、航空機ビジネス
 

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イグス、高荷重用途向け射出成形すべり軸受を開発

5ヶ月 4週 ago
イグス、高荷重用途向け射出成形すべり軸受を開発kat 2023年10日30日(月) in

 イグスは、建設機械や農業機械などの高荷重用途で無潤滑運転および高面圧を実現する、イグリデュール製すべり軸受「Q3E」(https://www.igus.co.jp/info/multilayer-plain-bearing-iglidur-q3e)を開発した。Q3Eは、金属製や編み込み構造式のベアリングに代替する強度を持ちながらも、潤滑剤が不要なためユーザーのメンテナンスコスト削減に寄与する。

 

 掘削機が数百㎏の砂を移動させるとき、バケットの軸受部には膨大な荷重がかかる。これまで、建設機械や農業機械などの高荷重用途には金属製または編み込み構造式のベアリングが必須で、イグスではさまざまな材質を使用したイグテックス・シリーズのすべり軸受でこの問題に対処してきた。イグテックスは固体潤滑剤が配合されているため低摩擦・無潤滑での運転が可能で、外層が強度に優れているすべり軸受だが、編み込み構造式のため比較的高コストとなっていた。

 今回開発したQ3Eでは、その製造方法に費用対効果が非常に高い射出成形プロセスを採用することで、多層構造の高荷重用途向けすべり軸受の大量生産が可能としたため、同社の編み込み構造式ベアリングと比較して安価となっている。性能に関しては、射出成形で2種のポリマー素材の長所を組み合わせることに成功。摩擦特性を最適化したい内層にはイグリデュールQ3高機能ポリマーを使用し、高強度が求められる外層には強化ポリマーを使用することで、高荷重用途に対応している。

 Q3Eの最大の利点は、金属製ベアリングが使用されていた建設機械や農業機械などの高荷重用途で、潤滑剤が不要になる点。Q3Eには、微細な固体潤滑剤が内層のポリマーに溶け込んでおり、製品寿命期間中にその固体潤滑剤が徐々に放出される。ベアリングをQ3Eやイグテックスに切り替えることで、ユーザーは潤滑にかかるメンテナンスコストを削減し、機械の耐用年数を延ばすことが可能となる。

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イグス、3Dプリント製品の寿命計算サービスを提供開始

5ヶ月 4週 ago
イグス、3Dプリント製品の寿命計算サービスを提供開始kat 2023年10日30日(月) in

 イグスは、「オンライン3Dプリントサービス」(https://www.igus.co.jp/info/3d-print-3d-printing-service)としてこのほど、製品寿命を30秒で計算可能にする寿命計算ツール機能を追加した。このサービスによりユーザーは、製品寿命を予測したトータルコストで製品を検討することができるため、より適切な樹脂素材の選択が可能となる。

 

 イグスでは、ユーザーが独自に希望する、3Dプリント用の耐摩耗性ポリマー「イグリデュール」を用いたすべり軸受などの部品をウェブサイト上で注文できるオンライン3Dプリントサービスを、無料で公開している。本サービスでは、対象製品のSTEP/STPファイルをウェブサイトにアップロードすることにより、個別の要件を満たす部品から少量部品まで、特殊部品を3Dプリントで製造する。フィラメントやレーザー焼結パウダー、液状レジンにラピッドツーリングを組み合わせるなど、幅広い選択肢の素材とプロセスを用いて、用途に合わせた部品を製造することが可能。また、コストや納期に関してもオンライン上で確認できる。

 今回、そのオンライン3Dプリントサービスに製品寿命の予測計算ツールを統合。各部品の価格だけでなく製品寿命が分かることにより、ユーザーは採算性についても検討可能となる。対象部品のしゅう動部を選択し、使用方法のパラメータをいくつか入力するだけで、オンライン3Ⅾプリントサービスが自動的に製品寿命を予測計算する。

 製品寿命の予測は、イグスのドイツ・ケルンにある3800m2に及ぶ研究施設で実施した試験結果のデータに基づいている。450機の試験設備を使用し、毎年11000件の摩耗試験を行っており、イグリデュールを使用した3Dプリント部品は、他の3Ⅾプリント素材を使用した場合と比べて最大50倍製品寿命が長くなるという試験結果が得られている。イグスでは、あらゆる業界のユーザーに対して、4種類のレーザー焼結材料、10種類のトライボフィラメント、新製品のイグリデュールi3000 3D プリント用レジンの他に、射出成形用に50種類以上のイグリデュール素材を提供している。

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エボニックと東京都市大学、「リケジョ応援プログラム」を開催

5ヶ月 4週 ago
エボニックと東京都市大学、「リケジョ応援プログラム」を開催kat 2023年10日30日(月) in

 エボニック ジャパンと東京都市大学は10月17日、東京都世田谷区の恵泉女学園中学・高等学校で「リケジョ応援プログラム」を開催した。

開催の様子

 

 同イベントは、理系学部への進学を検討している女子中高生を対象に、理系学部を選択した女性が実際に企業でどのように働いているか、その具体的な姿を紹介し、進路選択の一助とすることを目的として、東京都市大学のダイバーシティ推進室が2019年より進めている取り組み。

 日本におけるエボニック グループでは、社会貢献活動の一環として2007年から主に小学生を対象とした化学実験ショーを各地で開催し、これまでに4000人を超える子どもたちに化学の魅力を伝えてきた。

 しかし、人材のダイバーシティが近年ますます重要視されている一方で、日本の化学業界ではまだ男性社員の割合が圧倒的に多いという現状がある。

 エボニック ジャパン オイルアディティブス部 部長の本間美穂氏は、「これからの社会において、さらなる女性の活躍は必要不可欠だが、一言で理系と言ってもさまざまな選択肢があり、エボニックにおけるリケジョ社員のキャリアも多様。本プログラムを通じ、化学の楽しさとともに、私たちの経験を若い世代にシェアすることで、進路選択の力添えができたことを嬉しく思う」とコメントしている。

 講座では、エボニックの製品(シリカ、界面活性剤)を使った四つの実験を行い、女子中高生にとっても身近な化粧品や食品、文房具などにも応用される化学技術を紹介した。その後の仕事紹介のセッションでは、飼料添加剤の技術営業職、塗料添加剤の技術職、ヘルスケア製品の品質・薬事などに携わる女性社員5名から、それぞれの所属部署の取り組みと、進路選択の理由やこれまでのキャリアを紹介した。さらに、理系の中でも化学を選択する魅力として、化学業界は、新しい技術や製品の開発において中心的な役割を果たしており、社会全体にとっても非常に価値のあることを参加した生徒たちに伝えた。

エボニックの製品を使った実験の様子

 

エボニック女性社員との座談会の様子


 

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NTN、内径0.6mm世界最小の流体動圧軸受を開発

5ヶ月 4週 ago
NTN、内径0.6mm世界最小の流体動圧軸受を開発kat 2023年10日30日(月) in

 NTNは、流体動圧軸受としては世界最小サイズとなる内径0.6mmの「動圧ベアファイト」を開発した。5G(第5世代移動通信システム)の普及による通信市場の拡大に伴い、高速化や高容量化が進む高機能スマートフォンやウェアラブル端末など小型モバイル機器用マイクロファンモータの静粛性の向上や長寿命化に大きく貢献する。同社では、2025年度に600万個/年の生産を目指す。

左:開発品(内径φ0.6mm)右:従来品(内径φ1.5mm)


 動圧ベアファイトは、同社独自の精密加工技術により、焼結含油軸受にヘリングボーン型動圧溝を設け、軸受すきま全周で油膜を形成することによって、軽量・コンパクトで高い静粛性や高速回転対応を実現した流体動圧軸受。近年は、EV・電動化に伴い、より高い静音性が求められる車載向けファンモータなどへの採用が拡大している。

 一方、5Gの普及に伴い市場が拡大する通信機器分野においても、ゲーミングスマホと呼ばれる高機能スマートフォンやWi-Fiルータなどのモバイル機器の高速化や高容量化、さらに小型・薄型化が進んでいる。それに伴い、装置に搭載されている冷却用マイクロファンモータ向け軸受には、高速回転対応のほか、人に近い距離で使用されるケースが多いため、どのような姿勢で使用されても常に高い静粛性を維持することなどが求められている。

 NTNが今回開発した内径0.6mmの動圧ベアファイトは、ヘリングボーン型動圧溝の設計を最適化することで、小型でありながら高い油膜圧力を発生させることにより、高い静粛性と信頼性を実現した。一般的な切削加工においては、内径1mm以下の動圧溝を加工することは困難とされているが、NTNでは今回プレス成形条件も見直すことで、従来サイズ(内径1.5mm)から半分以下の内径0.6mmサイズの超小型動圧ベアファイトを開発することに成功したもの。流体動圧軸受としては世界最小サイズとなる。

 冷却用マイクロファンモータは、風量を上げることで耳障りな音が発生しやすくなることが課題とされているが、今回開発した動圧ベアファイトを使用することで、高い静粛性を実現することが可能となる。NTNでは、本開発品を需要が拡大している高機能スマートフォンやWi-Fi ルータ、ウェアラブル端末など小型モバイル機器のマイクロファンモータに最適な商品として提案を進めるとともに、車載装置向けや一般家電、医療機器など幅広い分野での販売を拡大していく考えだ。

 開発品の特長は以下のとおり。

・小型化:従来サイズ(内径1.5mm)から1/2 以上小型化(直径)

・高い静粛性:回転時に常に油膜形成率100%を維持(非接触で安定して回転)

・高い耐久性(長寿命化):焼結含油軸受の約1.7 倍(雰囲気温度:40℃で回転させた場合)

動圧ベアファイトと動圧溝のない軸受の油膜形成率の比較:動圧ベアファイトは油膜形成率100%を維持して非接触で安定して回転するのに対し、
動圧溝のない軸受は油膜が一定して形成されないため軸と頻繁に接触


 

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ブルカー、AFMタッピングモード用純正シリコンカンチレバーの販売を開始

6ヶ月 1週 ago
ブルカー、AFMタッピングモード用純正シリコンカンチレバーの販売を開始kat 2023年10日17日(火) in

 ブルカーは、オリンパス製マイクロカンチレバーOMCL-AC160TS-R3/C3とOMCL-AC240TS-R3/C3シリーズの販売終了に伴い、その完全後継品となるタッピングモード用純正シリコンカンチレバー「OTESPA-R4」と「OLTESPA-R4」の販売を開始致した。プローブ設計、プローブ製造装置、製造プロセスが同じである完全後継品のため、従来のオリンパスマイクロカンチレバーと同じ使用方法・条件での使用が可能。日本国内では、ブルカージャパン ナノ表面計測事業部(http://www.bruker-nano.jp)が取り扱いを開始している。

ブルカー製タッピングモード用純正シリコンカンチレバー「OTESPA-R4/OLTESPA-R4」

 

 場所を狙いやすい高解像度観察に最適なタッピングモード用シリコンカンチレバーの特長は、以下のとおり。

・高い水平分解能:三角形の形状を持つプローブは、探針先端が安定した鋭さを保つ。実際、背面アルミコート付きのプローブでさえ、探針の先端曲率半径は平均10nm以下となるように作られている。OTESPAプローブは、非常に応用範囲が広く、結晶表面、薄膜、ICデバイスなどの形状を優れた分解能で測定できる

・先端探針構造:鋭利な探針は、カンチレバー先端に配置されており、探針位置とサンプル測定位置の関係をAFMの光学顕微鏡で観察できるため、簡単・正確に位置合わせを行うことができる

 また、それぞれの完全後継品の特長は、以下のとおり。

 OTESPA-R4(OMCL-AC160TS-R3/C3後継品)は、優れたQ特性による高分解能イメージングを実現。共振周波数300kHz(標準値)とバネ定数26N/m(標準値)を両立。タッピングモードにおけるサンプルへのダメージを最小限に抑える。

 OLTESPA-R4(OMCL-AC240TS-R3/C3後継品)は、粘弾性測定やソフトサンプルに対応するバネ定数2N/m(標準値)のタッピングモード用シリコンカンチレバー。ソフトマテリアルの形状評価や粘弾性計測などに最適。

 仕様は以下のとおり。

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ブルカー、ポリマー薄膜から硬質薄膜、半導体デバイスなどの機械的特性評価に最適なナノインデンターシステムをリリース

6ヶ月 1週 ago
ブルカー、ポリマー薄膜から硬質薄膜、半導体デバイスなどの機械的特性評価に最適なナノインデンターシステムをリリースkat 2023年10日17日(火) in

 ブルカーはこのほど、ナノメカニカルテストにおいて優れたレベルの性能、自動化、生産性をもたらすナノインデンターシステム「Hysitron TI 990 TriboIndenter®」をリリースした。日本国内では、ブルカージャパン ナノ表面計測事業部(http://www.bruker-nano.jp)が取り扱いを開始している。

ナノインデンターシステム「Hysitron TI 990 TriboIndenter」

 

 TI 990は、業界をリードするナノインデンターシステムを包括的に進化させたもので、新しい測定モード、さらにスループット2倍と高速化された測定モード、200mm ×300mmの広いテストエリアを備えている。

 これによって例えば、ポリマー薄膜のナノスケール試験の精度向上、コンビナトリアル材料科学のスループット向上、300mm半導体ウエハのマルチ測定分析などを可能としている。性能、使いやすさ、柔軟性を兼ね備えた TI 990 は、ポリマー研究、合金開発、半導体デバイスなどに対して最適な機械的特性評価ソリューションを提供する。

 複数の特許取得済みである独自の技術を活用したTI 990は、ナノスケールでの定量的な機械的特性評価およびトライボロジー特性評価を可能にする。新しいPerformech IIIコントローラ、高度なフィードバック制御モード、次世代nanoDMA IV動的ナノインデンテーション、XPM II高速機械特性マッピングなど、測定および解析プロセスのあらゆる面で最新技術を採用。ユニバーサル・サンプル・チャックを使用することで、ほぼすべてのサンプルを取り付け、より広い試験可能領域で測定することができる。トップビューのサンプルナビゲーションは、新しいTriboScan 12ソフトウェアでのシステムセットアップを効率化し、装置の遠隔操作をより簡単にする。

 ミネソタ大学ツインシティーズ校のNathan Mara教授は、「TI 990には、強力な新制御モード、特に新しい混合モード・フィードバック制御が搭載されており、幅広い時間領域での研究の可能性が広がっている。小さな長さスケールでの新しい実験の可能性が広がっていることに感動している」と語っる。

 また、ブルカーのナノメカニカルテスト事業部統括部長のOden Warren博士は、「TI 990はテストプロセスと可能性を最適化するためにあらゆる面が再考されている。当社のエンジニアは、測定の柔軟性の向上からシステムのセットアップの容易さ、操作の合理化まで、すべてを改善した。この新しいシステムでお客様が飛躍的な進歩を遂げられることを楽しみにしている」とコメントしている。

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BASF、旭化成ロイカ事業部にバイオマスバランス・アプローチによるテトラヒドロフランを供給

6ヶ月 2週 ago
BASF、旭化成ロイカ事業部にバイオマスバランス・アプローチによるテトラヒドロフランを供給kat 2023年10日11日(水) in

 BASFは、旭化成のロイカ事業部に、バイオマスバランス・アプローチによるテトラヒドロフラン(THF BMB)を供給する。旭化成は、BASFのTHF BMBを使用して、ロイカ®ブランドのもと、サステナブルなマスバランスグレードのプレミアムストレッチファイバーを生産する。今回の提携は、旭化成の顧客による新しいサステナブルなアパレルコレクションの立ち上げをサポートすることを目的としたもの。

 ロイカ®はMB(マスバランス アプローチ)ストレッチファイバーを同社の多くの製品にオプションとして供給している。同ブランドはMBストレッチファイバーで市場に進出予定で、すでに複数のアパレルメーカーと協議を開始している。

 BASFのTHF BMBは、既存製品と比較して製品カーボンフットプリント(PCF)が大幅に削減されていることが評価されているが、これはフェアブント(統合生産拠点)での製造において、使用する一定量の化石原料を再生可能原料に置き換えることによって実現している。旭化成は、BASFのTHF BMBの使用により、同社の既存製品と比べてCO2排出量を約25%削減できる。また、同社独自のマスバランス方式と再生可能エネルギーを生産に導入することで、旭化成は製品のCO2排出量をさらに約25%削減し、CO2排出量を既存製品よりもトータルで約50%削減することを目指す。

 BASFのTHF BMBは、大規模な投資や製品フォーミュレーションの変更を必要としないドロップイン・ソリューションで、従来の製品と同一の品質と特性を保持できる。

 BASF中間体事業本部アジア太平洋地域のジオール&デリバティブ事業管理部門 ディレクターであるチュン・ガ・プア氏は、「旭化成とのサステナビリティパートナーシップによる発展を大変うれしく思う。世界のアパレル市場では、よりサステナブルな原料を採用する傾向が強まっている。当社はバイオマスバランス・アプローチ開発のパイオニアとして、顧客が低炭素で循環型のバイオ経済への移行を加速できるようにサポートしていく。そして、消費者がサステナブルな製品の十分な情報を得た上で、購買を判断できるように促し、よりサステナブルなテキスタイルのバリューチェーンを構築していく」と語っている。

 旭化成のライフイノベーション事業本部 ロイカ事業部の事業部長である神山剛啓氏は、「革新的な素材の開発と製造におけるグローバルリーダーの一社として、当社は事業の柱である独自性とサステナビリティを結びつける取り組みにおける新たな一歩と捉えている」と述べている。

 THFはエーテルのような臭いを持つ無色の水混和性の液体。この場合、THFは ポリテトラヒドロフラン(PolyTHF®)の製造に使用され、高弾性のスパンデックスやエラスタン繊維の原料になる。さらにTHFは、有機物質に対して中間的な極性を持つ有機溶媒として機能し、さまざまな合成の反応溶媒や出発物質として使用される。

旭化成のロイカの持続可能なマスバランスグレードのプレミアムストレッチファイバーには、BASFのTHF BMBが使用されている

 

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BASF、独ルートヴィッヒスハーフェン拠点で中分子ポリイソブテンの生産能力を拡大

6ヶ月 2週 ago
BASF、独ルートヴィッヒスハーフェン拠点で中分子ポリイソブテンの生産能力を拡大kat 2023年10日11日(水) in

 BASFは、OPPANOL®(オパノール) Bの製品名で販売されている中分子ポリイソブテンの、自社拠点における生産能力を25%拡大する。今回の投資は、高品質の中分子ポリイソブテンに対する世界的な需要の高まりに対応するためのもので、2025 年前半までに、生産能力の拡大を完了する予定。

 BASF 燃料・潤滑油ソリューション部門 シニア・バイスプレジデントのレナ・アダム氏は、「今回の中分子ポリイソブテンの生産能力拡大によって、BASFはさまざまな業界の顧客からの厳しい要求に応え、顧客の成長をサポートする、信頼できるサプライヤーになりたいと考えている」と語っている。

 中分子ポリイソブテンは、自動車、建設、エレクトロニクス、食品・包装業界など、さまざまな業種の製品に必要不可欠なコンポーネントで、用途としては、表面保護フィルム、窓枠用シーラント、電池用バインダー材料、また食品包装材などが挙げられる。

 BASF のグローバル・マーケティングおよび製品開発、燃料・潤滑油ソリューション部門のバイスプレジデントであるターニャ・ロスト氏は、「BASFの中分子ポリイソブテンOPPANOL® Bの生産能力を拡大することで、顧客はエネルギー効率の高い住宅など、持続可能な開発に貢献する革新的なソリューションによって成長できるようになる。主要原材料への後方統合を強化することで、中分子ポリイソブテンの世界的リーダーとしてのBASFの強みを最大限に活用していく」と述べている。

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木村洋行、ローラースクリューを用いた電動アクチュエータと超薄型ボールベアリングの 加工分野での適用を拡大

6ヶ月 2週 ago
木村洋行、ローラースクリューを用いた電動アクチュエータと超薄型ボールベアリングの 加工分野での適用を拡大 in kat 2023年10日11日(水) in in ローラースクリュー 概要と特長

 木村洋行(https://premium.ipros.jp/kimurayoko/)では、2020年1月からEWELLIX(エバリックス)社の直動製品の取り扱いを開始している。エバリックスは、アプリケーションごとのニーズに合わせたカスタマイズのソリューションに定評がある直動製品メーカーで、本年1月にSchaeffler(シェフラー)社の傘下となり、かねてから進めてきたセンサーおよびコントローラー関連の研究開発を加速させている。

 エバリックス独自の直動製品の一つに、「ローラースクリュー」がある。ボールを転動体とするボールねじが点接触で運動するのに対し、ローラーを転動体とするローラースクリューは面接触で運動するため、ボールねじに比べ①高荷重の支持、②長寿命、③高剛性、といった特長を持つ。

 図1(a)は、𝐿10寿命計算に使われる基本動定格荷重(一群の同じ製品を運転した時に、その内の 90%がはく離を起こさずに回転できる寿命が100万回転になるような軸方向荷重、Ca)の比較だが、図1(a)からは例えば同じ軸径φラースクリューの基本動定格荷重は130kN程度と、より大きな荷重が受けられることが分かる。

 このことから図1(b)に示すとおり、同じ基本動定格荷重で見ると、高負荷容量ボールねじに比べエバリックスのローラースクリューは、ナットの長さを約3〜4割短縮できる。これは、ナットのダウンサイジングによる省スペース化が図れ、装置をコンパクト化できることを意味する。

 また、ボールねじなどの軸方向荷重としては一般的に、メーカーは基本動定格荷重の30%以下で使用することを推奨している。この値が許容荷重で、図1(c)は、エバリックスのローラースクリューが面接触により面圧を分散できるため、同じ軸径で比較すると、高負荷容量ボールねじの約3.3倍の許容荷重を有すること、つまり、はるかに高い耐荷重能力を持つことを示している。

 こうしたことからローラースクリューでは、同等の基本動定格荷重であればボールねじに比べ軸径の小さな製品にダウンサイジングでき、重量を大幅に軽くすることで、慣性モーメント(イナーシャ)も大幅に小さくできる(図2)。

 エバリックスのローラースクリューのシリーズとしては、大別して遊星型と循環型があるが、ここでは遊星型ローラースクリュー「SR」と、それを用いた電動アクチュエータ「CEMC」の概要について、さらにはCEMCの加工分野における適用例について紹介する。
 

図1 エバリックス ローラースクリュー vs. 重荷重用ボールねじ(リード10mmで比較)

 

図2 同等の基本動定格荷重のボールねじからのダウンサイジングの効果

 

遊星型ローラースクリュー

 遊星型ローラースクリュー「SR」は、ねじ軸と、ねじ軸の周りに、ガイドで固定してそれぞれが非接触で配置された、両先端にギヤを切り本体には螺旋ねじを持つローラー、ローラー先端のギヤが噛み合う内歯車(ギヤリング:toothed ring)、ローラーの螺旋ねじと同じ角度の螺旋溝を内側に施したナットなどから構成される(図3)。

 ねじ軸の回転とともに各ローラーは、先端のギヤがギヤリングと噛み合いながら軸の周りを遊星運動で回転、これによってナットの直線運動へと変換される。

 遊星型ローラースクリューの特長としては、転がり接触によって低摩擦で、耐荷重能力が高く、循環型ローラースクリューのような循環機構を必要とせず、また衝撃荷重・振動を受けないため高速・高加速が要求されるアプリケーションに適していること、などが挙げられる。ローラー先端のギヤとギヤリングとの噛み合いによって、ボールねじで見られるような高加速の際の滑りも起こらない。
 

図3 遊星型ローラースクリューの構造

 

遊星型ローラースクリューを用いた高性能アクチュエータ

 電動アクチュエータ「CEMC」は、中空シャフトモーターのシャフトに上述の遊星型ローラースクリューを用いている(図4図5)。このためCEMCは、ローラースクリューの特長である①高荷重の支持、②長寿命、③高剛性、を実現する。コンパクトで高推力を図りつつ、イナーシャを最小化することによって制御性・応答性が良好で、サイクルタイムを劇的に改善し高い生産性を実現できる。
 
 

図4 CEMCの外観:1.給油ニップル 2.プッシュチューブ 3.アンギュラ玉軸受 4.遊星型ローラースクリュー 5.中空シャフトサーボモーター 6.モーター用コネクター 7.フェールセーフ用ブレーキオプション 8.位置フィードバックオプション 9.防塵用スクレーパーシール

 

図5 CEMCの構造

 

加工分野での適用事例

 ローラースクリューを用いた電動アクチュエータは、スポット溶接ロボットや樹脂を押し出す射出成形機やブロー成形機、金属加工に用いるサーボプレス機など、高荷重がかかる用途で多くの実績を持つ。スポット溶接ロボットではXタイプのガンフレームとCタイプのガンフレームで採用されていて、Xタイプガンフレーム(図6)では、溶接するワークを挟む機構として二つのガンアームを最大ストローク180mmで駆動させ、スポット溶接ガンの加圧力(~25kN)を保持する。また、Cタイプガンフレームでは、一つのガンアームをXタイプよりも高速に、最大ストローク300mmで駆動させ、スポット溶接ガンの加圧力(~15kN)を保持する。

 ボールねじを大径にしないと高推力を発生できず、装置内で大径ボールねじのスペースが確保できないような場合に、ローラースクリューとそれを用いた電動アクチュエータでは、ダウンサイジングによる省スペース化が可能となる。

 一方、高推力が必要とされる際に多用されてきた油圧アクチュエータから、CEMCなどのローラースクリューを用いた電動アクチュエータへと置き替えることによって、制御性や分解能を向上でき、必要とされるエネルギーを大幅に削減できるほか、油圧作動油の管理といったメンテナンスコストが削減できるなど、生産コストの低減と生産効率の向上に寄与できる。
 

図6 スポット溶接ロボットⅩタイプガンフレームでの適用例
超薄型ボールベアリング 概要と特長

 木村洋行は長年にわたり、1950年代に世界で初めて超薄型ボールベアリング「Reali-Slimシリーズ」(図7)を開発し、量産を開始した唯一の専門メーカーKAYDON(ケイドン)社の日本総代理店を務めている。ケイドンは現在、SKFグループ企業として、あらゆる用途に応じたカスタムベアリングの開発も手掛けている

 

図7 内径が大きくなっても断面サイズが一定の
ケイドン超薄型ボールベアリング

 

 ケイドン超薄型ボールベアリングの最大の特長としては、断面が超薄型のため装置に占めるベアリングのスペースを最小化でき、装置全体の省スペース・軽量化が図れ、設計の自由度が向上する点が挙げられる。一般的なISO規格・JIS規格のベアリングでは内径が大きくなるのに比例して断面サイズも大きくなるのに対し、ケイドン超薄型ベアリングは断面サイズでシリーズ化されており、図7に示すとおり、内径が大きくなっても同じシリーズ内であれば断面サイズは変わらない。

 ケイドン超薄型ボールベアリングには、ラジアル荷重を受ける深溝型(Type-C)と、通常は2列以上の複列で用いてラジアル荷重、アキシアル荷重とモーメント荷重の複合荷重を同時に支えることができるアンギュラコンタクト型(Type-A)、この複合荷重を単列のベアリングのみで受けられる4点接触型(Type-X)がある。特に、複合荷重を受けられる4点接触型を使用することで大口径中空シャフトへの置き換えが可能になるだけでなく、単列仕様にできるため軸方向の長さをさらに短縮できる。気体・液体の配管類、電気配線やスリップリングなどを中空シャフト内に収納可能など、フレキシブルで効率的なデザインにできる。

 

加工分野での適用事例

 ケイドン超薄型ベアリングは内径が大きくなっても断面サイズが超薄型なことから、工作機械でも省スペース設計が可能で、外輪に歯切りした大口径ターンテーブル用ベアリングや、ツールチェンジャー用ベアリングなどに採用され、装置の省スペース設計のほか軽量化による消費電力の低減にも寄与している。
 工作機械でも砥石がワークの外周側を回転する用途では、砥石を支持するベアリングの内径を大きくしつつ外径寸法を抑える必要がある。このような用途では、ケイドン超薄型ボールベアリングの使用が有効な解決策となる。

 

今後の展開

 ものづくり現場での自動化・ロボット化が進展し効率向上からメンテナンス期間延長などが求められる中で、耐久性が高いエバリックスの電動アクチュエータの採用が進んできている。また、装置の省スペース設計が可能な点からは、エバリックスのローラースクリューやケイドンの超薄型ベアリングが注目されてきている。いずれも高い負荷容量、長寿命化を実現しつつ、サイズダウン化でき軽量化が図れることからは、装置の消費電力の低減、ひいてはCO2削減にも寄与できる。

 シェフラーグループの一員として万全の開発バックアップ体制のもと、エバリックスでは近年進めてきたセンサーやコントローラーの研究開発が加速してきており、伝送速度が速く拡張性の高いコントローラー・エリア・ネットワーク(CAN)バス通信規格に対応した製品が投入されてきている。CANバス通信規格に対応したスマート電動アクチュエータ「CAHB-2xS(2xSのラインナップ:20S、21S、22S)」は、素早く滑らかな動作を実現できるため、より高い生産性を実現できる。高荷重条件で使われ近年IoT化の進む建設機械の荷台駆動などで素早く角度を変えるといった、屋外における適用も拡大してきている(図8)。

 木村洋行では、このように製品・技術・アプリケーション情報のアップデートを常に図っている。製品・技術・アプリケーションに関する知見とノウハウを蓄積しつつ、ユーザーとの対話の中でニーズを的確にとらえることで、さまざまな用途に合わせてカスタマイズが可能なエバリックス製品とケイドン製品の特質を生かした、ユーザーの仕様に最適なソリューションを提供していく。同社ではまた、従来から実施している、機械を正常に稼働させるための総合的な技術的サポートについても引き続き注力していく考えだ。
 
 

図8  CAHB-2xSの建設機械での適用例

 

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THK、ジャパンモビリティショーで独自開発のEVプロトタイプを披露

6ヶ月 2週 ago
THK、ジャパンモビリティショーで独自開発のEVプロトタイプを披露kat 2023年10日11日(水) in in

 THKは、10月25日~(一般公開は10月28日~)11月5日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023、JMS)」に初出展し、実走行可能なEVプロトタイプである「LSR-05」を世界で初めて披露する。

 本EVプロトタイプには、THKが独自開発したEV向け先進技術が多数搭載。デザインはSN DESIGN PLATFORM(SNDP)が担当し、両社が一体となって未来に向けた新しいモビリティの姿を具現化した。

 

ダイナミックかつエレガントなエクステリアのクロスオーバー4シータークーペ 「LSR-05」
サイズは全長4995mm、全幅1965mm、全高1530mm

 

 クロスオーバー4シータークーペ「LSR-05」は、「ラグジュアリーでスポーティなデザイン、革新的な技術」をキーワードに開発された。車名は、Luxury、Sport、Revolutionそれぞれの頭文字を表す。

 この車名は、1972年にTHKが世界で初めて開発した「直線運動案内」である初代LMガイド「LSR」にも由来するほか、創業50周年の節目という思いと、車の開発をスタートしてから5世代目という意味が「05」には込められている。

 プラットフォームにはTHK独自開発の93kW(800V仕様)の可変磁束型インホイールモーターをリアに2基、フロントには220kW(800V仕様)のモーターを1基搭載した4輪ステア機構を採用。さらにはアクティブサスペンション、MR流体減衰力可変ダンパー、電動ブレーキなどを搭載し、上質な乗り心地と優れた操縦安定性を実現した。

 また、室内に採用したステルスシートスライドシステムはフロアの完全なフラット化を可能とし、高級感ある快適な空間を演出する。

 非接触給電システムも採用することなど、LSR-05ではTHKが目指す未来に向けた新しいモビリティの姿を表現している。

THKが独自開発しLSR-05に搭載したEV向け先進技術


 

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BASF、サステナビリティを意識した調達用デジタルアプリケーションをリリース

6ヶ月 3週 ago
BASF、サステナビリティを意識した調達用デジタルアプリケーションをリリースkat 2023年10日06日(金) in

 BASFは、ユーザーがBASFから購入する製品カーボンフットプリント(PCF)をよりよく把握できるように設計された、新しいデジタルアプリケーション「MyCarbonFootprint」をリリースした。これは、CO2削減や再生可能原料の使用に関するサステナビリティ目標の達成に向け、ユーザーがBASFの最適なソリューションを特定するのにも役立つもので、医薬品原料、アミノ樹脂、ブタンジオールおよびその誘導体、酸および多価アルコール、アセチレン誘導体、カルボニル誘導体、アミン類など、厳選された700を超えるBASF化学品中間体事業部の大量生産製品のデータが含まれている。MyCarbonFootprintに含まれる製品を購入している50社以上のユーザーに提供、ユーザーでの利用が始まっている。

 

 MyCarbonFootprintは、ユーザーが購入するBASF製品の「Cradle-to-gate」(ゆりかごからゲートまで)のPCFをユーザーに知らせるほか、このアプリは、製品の製造に使用される再生可能原料の割合を表示する。データはユーザーごとにカスタマイズされ、選択した製品の購入量に応じて、MyCarbonFootprintがCO2排出量、PCF、再生可能原料の割合を、それぞれのユーザーのBASFでの購入ポートフォリオに合わせて計算する。

 MyCarbonFootprintを利用すると、CO2排出量と再生可能原料の使用について、購入ポートフォリオの調整が自社のサステナビリティステータスに与える影響を確認できる。例えば、MyCarbonFootprintは、以前購入した製品の代わりに、より低いPCFを選択した場合の潜在的なCO2排出の削減量を計算する。また、適切な製品を選択することでバリューチェーンにおける再生可能原料の割合を増やすことができるように、さまざまな代替案を示す。

 BASF中間体事業本部グローバル戦略マーケティング担当のニールス・メーラー氏は、「当社は、ユーザーがCO2排出量削減目標を追求する際に必要な透明性を確保し、BASFポートフォリオから最適な製品を選択することでサステナビリティの目標を実現するために、MyCarbonFootprintを開発した」と述べる。同氏が率いるチームは、この革新的なITツールを発明し、市場投入に向けて開発を続けてきた。

 MyCarbonFootprintは、BASFのポートフォリオのさまざまな持続可能製品の概要を提供する。例えば、BASFのユーザーは、BASFの低いPCFを使用することで、CO2排出量を削減できる。これらの製品は、特定のユーザーの要望に基づき、PCFが基準値と比較して大幅に削減されている。低PCFポートフォリオには、バイオベースまたはバイオマスバランス(BMB)製品などが含まれており、化石資源由来の標準的な製品よりもCO2排出量の削減に貢献する。また、BASFは、PCFがゼロまたはゼロ未満のネットゼロ製品も一部で提供している。

 BMB製品への切り替えは、ユーザーがバリューチェーンにおける再生可能原料の割合を増やす、容易な方法でもある。BMBアプローチにおいて、BASFは化学品生産の初期段階で再生可能原料をフェアブントに投入する。そして、これらの原料の割合が、認証済みのマスバランス方式によって特定の販売製品に割り当てられる。BASFのバイオマスバランス製品の認証は、REDcert2やISCC PLUS4などの広く認められた基準に基づいて行われる。

 バイオマスバランス製品は、化石資源由来の標準製品と品質や特性が同等であるため、ドロップインソリューションとして利用できる。ユーザーは、既存の製造工程を変更することなく、これらの製品を使用できる。

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THK、文化財展示ケース用免震テーブルの受注を開始

6ヶ月 3週 ago
THK、文化財展示ケース用免震テーブルの受注を開始kat 2023年10日05日(木) in

 THKは、歴史的文化財を所有する文化施設向けに展示ケース用の免震テーブル「VIT型」を開発した。10月から受注を開始している。

免震テーブル「VIT型」
行灯型独立展示ケースの真下に置くだけで設置完了

 

 文化財展示ケース用免震テーブルVIT型は、博物館や美術館などの文化施設に導入される外周4面をガラスで覆った行灯型独立展示ケースを主なターゲットとした薄型設計(高さは最小96mm)の免震機器。免震構造は支承(直動案内)・復元(ばね)・減衰(粘性ダンパー)の機能が一つに組み込まれており、展示用ガラスケースの真下に設置することで、ケース自体はもちろんのこと、歴史的に貴重な文化財を地震の大きな被害から守る備えとなる。

 THKは、世界中の産業機械で採用されてきた直動案内の技術を応用して、建物用免震からフロア免震まで名実共に数多くの実績を積み重ねてきた。地震の揺れを低減して大切なものを保全するTHK免震により、ユーザーのニーズに合わせた最適な地震対策を提案する。

支承部に搭載された直動案内の構造

 

 特長は以下のとおり

・展示ケースの仕様に合った製品ラインナップ:規格化された展示ケースの形状に合わせ た4サイズ(□600、□750、□900、□1200をラインナップ。展示ケースに合わせたオプション品(アジャスタ、キャスタ、スライド巾木もラインアップ)

・直動案内の特性を最大限に活用して地震の揺れを低減:搭載物はボール循環方式による転がり案内「ユーティリティスライドUGR」に支持され、分離しない構造。引抜力やねじれにも対応し、ガタツキのない安定した動作で搭載物を地震から守る。粘性ダンパーによる減衰機構と引張ばねによる復元機能を有する。

・実証された免震性能:震度6弱以上の大地震を想定した免震性能を保有し、応答解析と振動試験結果が一致していることを検証済み

展示ケース振動試験結果 加速度応答(1995年兵庫県南部地震 神戸市内観測波による)

 

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BASF、バイオベースの1,4-ブタンジオールの長期使用権を獲得

6ヶ月 3週 ago
BASF、バイオベースの1,4-ブタンジオールの長期使用権を獲得kat 2023年10日02日(月) in

 独BASFは、米国Cargill社と独HELM社の合弁会社である米国Qore® 社と契約を締結し、バイオベースの1,4-ブタンジオール(BDO)である「QIRA®」の長期的入手を可能にした。

 Qore®は、アイオワ州エディビルにあるCargill(カーギル)のバイオテクノロジー キャンパスとトウモロコシ精製工場でバイオベースのBDOを製造している。BASFはQIRA®によって、例えばポリテトラメチレンエーテルグリコール(ポリテトラヒドロフラン)「PolyTHF®」やテトラヒドロフラン(THF)のバイオベース製品で、既存のBDO誘導体の製品ラインアップを拡大する。最初の商業出荷は2025年第1四半期を予定している。

 Qore®はQIRA®ブランドのもと、バイオベースのBDOを製造している。QIRA®は、トウモロコシから得られる植物由来の糖類の発酵によって製造されており、化石資源由来のBDOと同じ品質の製品規格を実現している。

 Qore®のCEOであるJon Veldhouse氏は、次のように述べています。「QIRA®は、業界がより持続可能な代替品に迅速かつシームレスに切り替えるための、完璧なドロップイン製品(代替可能な製品)。QIRA®に切り替えることで、化石資源由来のBDOよりも製品カーボンフットプリント(PCF)を最大86%削減できる可能性がある」と語っている。

 QIRA®を使用することで、BASFは対応する化石資源由来化学品よりも低いPCFのBDO誘導体を製造できるようになる。QIRA®をベースとするBDO誘導体は、化石資源由来のBDOを用いた誘導体と同等の品質を備えている。

 BASF中間体事業本部 グローバル戦略マーケティング担当のウルフガング・ミュラー氏は、「QIRA®を使用できるようになったことで、PCFを削減するだけでなく、 再生可能原料の物理的含有量も保証するBDO誘導体を、顧客に大量に提供できるようになる。これにより、バイオマスバランス製品、低PCF製品、BASFの「ChemCycling®(ケミサイクリング™)」アプローチに沿って製造された製品などを含む、持続可能なソリュー ションの既存ポートフォリオをさらに多様化していく」と述べている。

 Qore®CEOのJon Veldhouse氏は、「BASFと提携し、より持続可能な材料ソリュー ションを市場に提供できることを誇りに思う。今回の提携によって、QIRA®が化石資源由来のBDOに代わる重要な代替品であり、誘導体のサステナビリティを大幅に高めるものであることが示されている。QIRA®はアパレル、自動車、エレクトロニクスなどの市場においてさまざまな用途に使用できる、革新的なプラットフォーム化学物質だ」と述べている。

 BDOは、水着、スポーツウェア、下着、さらにはシャツやストレッチジーンズなどのアウターウェアなど、幅広いテキスタイルに使用される、伸縮性のあるスパンデックスやエラスタンファイバーに不可欠な出発原料である、PolyTHF®を製造するための重要な前駆体で、PolyTHF®は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)製造のための化学的基本的骨格。BASFの顧客はTPUを使用して、主に自動車産業向けの耐摩耗性・伸縮性に優れたホース、フィルム、ケーブル被覆を製造している。その他の用途としては、スケートボードやインラインスケートのホイール製造に使用される熱可塑性ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、キャストエラストマーなどがある。欧州、北米、アジア太平洋地域に五つのPolyTHF®製造プラントを持つBASFは、多用途中間体の大手サプライヤー。BDOは、主に医薬品の製造に使用されるTHFに活用されている中間体でもある。BASFは世界有数のBDO誘導体の製造業者となっている。

 

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表面設計コンソーシアムが設立、11月15日にKISTECで設立講演会を開催

7ヶ月 ago
表面設計コンソーシアムが設立、11月15日にKISTECで設立講演会を開催 in kat 2023年09日25日(月) in

 「表面設計コンソーシアム」(https://surfacedesignconsortium.com/)がこのほど、複雑な表面課題にソリューションを提供しつつ、今後求められる表面課題に対応する複合処理の技術開発をする目的で設立された。創設メンバーは、微粒子投射技術を有する不二WPC(https://www.fujiwpc.co.jp/)と、多様なコーティング技術を持つ日本電子工業(http://www.ndkinc.co.jp/)、熱処理技術を提供する武藤工業(https://www.mt-k.com/)、金型の設計・製造を手掛ける昭和精工(https://www.showa-seiko.co.jp/)に加えて、豊富な分析評価技術を保有する神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)、理論構築を担う横浜国立大学。

 

 表面設計コンソーシアムは、単一の技術では対応できない表面に関わるユーザーのニーズ・オーダー(表面課題)に対して、表面技術のスペシャリスト集団がエンジニアリングの立場から共同受注し、計測・評価を経た根拠のある合理的で最適なバリューコストを高める表面設計ソリューション、また、各種の表面損傷に対して寿命予測が可能な表面設計ソリューションを開発し提供することを目的とするもの。

 一方で、将来的に必要とされるであろう表面課題に対応する複合処理の技術開発も行っていく。

 同コンソーシアムは11月15日15:00~17:15、神奈川県海老名市のKISTEC海老名本部(https://www.kistec.jp/aboutus/access/#ebina)研究棟5階・共通技術研修室で、「Innovation Hub 2023」の1フォーラムとして、「表面設計コンソーシアム 設立講演会~神奈川から世界へ、ものづくり中小企業による産学公地域連携の新しいカタチ~」を開催する。申込はこちらから。

 同フォーラムの内容は以下のとおり

・15:00~15:05    「開会の挨拶」
北森武彦氏(KISTEC 理事長)

・15:05~15:20
「KISTECのものづくり中小企業支援と表面設計コンソーシアム」
髙木 眞一氏(KISTEC 川崎技術支援部長)

・15:20~15:40
「擦り合わせ技術の複合化によるシステムソリューションを目指す」
梅澤 修氏(横浜国立大学大学院 工学研究院長)

・15:40~16:00
「企業連携で目指すもの-新たなビジネスモデルと複合技術によるイノベーション」
熊谷正夫氏(不二WPC 取締役 技術開発部長)

・16:00~16:15
「メンバー各社の得意技術紹介①」斉藤 邦夫氏(不二WPC 技術開発部 主任研究員)

・16:15~16:30
「メンバー各社の得意技術紹介②」池永 薫氏(日本電子工業 相模原工場長)

・16:30~16:45
「メンバー各社の得意技術紹介③」中村正美氏(武藤工業 企画開発部長)

・16:45~17:00
「メンバー各社の得意技術紹介④」木田成人氏(昭和精工 代表取締役)

・17:00~17:15
「メンバー各社の得意技術紹介⑤」髙木眞一氏(KISTEC 川崎技術支援部長)

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第11回マヌス賞 受賞事例4件を公表

7ヶ月 ago
第11回マヌス賞 受賞事例4件を公表kat 2023年09日22日(金) in

 イグスは、自社のすべり軸受けを創造的に使用した事例を表彰する「マヌス賞」を2年に一度開催しているが、このほど「第11回マヌス賞」の受賞事例を公表した。今回は世界36ヵ国から480の使用事例が寄せられ、アイデアや機能性、節約、効果、差別化などの基準で審査される選考プロセスを勝ち抜き、以下4件の事例がマヌス賞に輝いた。

第11回マヌス賞授賞式の様子

 

マヌス金賞:液体窒素肥料を農地に供給するパラリンケージコールター/J&M Manufacturing社(アメリカ)

 J&M Manufacturing社は、無潤滑の樹脂製ベアリングを使った新型の農業機械をサステナブルで経済的に使用した事例でマヌス金賞を受賞し、賞金5000ユーロを獲得した。

 同社ではパラリンケージコールターという鍬の機械を開発しており、農家はこれを使ってトウモロコシやジャガイモ、小麦などの農作物に液体窒素肥料を散布している。メンテナンスフリーで運用し、かつ潤滑剤を地中に混入させないために、パラリンケージコールターの設計者は五つある全てのコールターブレードのピボットポイントで、イグスのイグリデュールすべり軸受を使用した。イグリデュールは、液体窒素肥料に触れても腐食せず、揺動運動にも耐性があるベアリングで、潤滑剤を使用する必要がないため、潤滑剤を使用していた分のコストを削減できる。

マヌス銀賞:スリムなデザインの高圧洗浄機ユーザー向けパワードスーツ/Aufratech社(フランス)

 マヌス銀賞には、高圧洗浄機を扱う作業員が着用するパワードスーツ「EXO N」の事例でAufratech社が選ばれた。

 食品業界、造園業、農業などで高圧洗浄機を扱う作業員は、腰に大きな負担がかかる重い機器を使用している。Aufratech社は「EXO N」というパワードスーツを開発し、スーツの中核機能である、ユーザーが背筋を伸ばしたままでランスをガイドできる制御システムのスリム化に成功した。本事例には、イグリデュールすべり軸受とドライリンリニアガイドが採用されている。

マヌス銅賞:自治体車両向けの伸縮式高圧洗浄機/Fiedler Maschinenbau und Technikvertrieb社(ドイツ)

 マヌス銅賞には、汚れた道路や広場を清掃する自治体車両向けの高圧洗浄機の事例でFiedler Maschinenbau und Technikvertrieb社が選ばれた。

 この高圧洗浄機の特長は、拡幅可能な洗浄ノズルを備えている点で、この機能を実現するために、Fiedler社はドライリンリニアガイドを採用している。ドライリンリニアガイドは耐食性に優れているため、摩耗や水、砂、砂利、ブレーキダストに強い耐性がある。加えて、非常に頑丈であるため、縁石や石畳を通過する際の激しい衝撃や振動に耐えることができる。

グリーンマヌス賞:ローダーワゴンや堆肥散布機などに使用される無潤滑ボール式連結装置/Rockinger Agriculture GmbH社(ドイツ)

 グリーンマヌス賞には、ローダーワゴンや堆肥散布機、ダンプカー、農業用噴霧機用の無潤滑ボール式連結装置「KS80」の事例でRockinger Agriculture社が選ばれた。

 この連結装置はカプラーとツメで構成され、高さを調整する機構に設置されている。このボール式連結装置内部には、イグスが同社のために開発したイグリデュール製の頑丈で高性能な耐摩耗性インサートが搭載されている。一体型の固体潤滑剤により、低摩擦で土壌汚染の恐れがない無潤滑運転が可能となった。同社の試算では、ドイツにあるトラクターの1/3が「KS80」と耐摩耗性インサートを搭載すると約8300個分のボール式連結装置が無潤滑で済み、それによって年間8tのグリースを節約できるとしている。
 

4件の受賞事例

 

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ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2023年9月号「特集1:自動車」「特集2:工作機械」発行!

7ヶ月 1週 ago
ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt」2023年9月号「特集1:自動車」「特集2:工作機械」発行! in admin 2023年09日21日(木) in

 ベアリング&モーション技術の総合情報誌「bmt(ベアリング&モーション・テック)」の第44号となる2023年9月号が9月25日に小社より発行される。

 今号は、「特集1:自動車」、「特集2:工作機械」で構成。特集「自動車」では、カーボンニュートラル実現に向け期待される水素を活用した内燃機関の研究開発の動向から、電動車両の進展とともに要求される静音化などに対応するグリース技術、燃費向上・電費改善につながる自動車部品の低フリクション化と耐久性向上を支えるベアリング&モーション・テクノロジー(bmt)関連技術を紹介する。

 特集「工作機械」では、最近の工作機械の技術と、工作機械を滑らかに高い耐久性・低い消費電力をもって稼働させるbmt関連技術と試験評価技術について紹介する。

特集1:自動車

◇水素を燃料とする内燃機関に関する動向・・・東京都市大学 三原 雄司

◇自動車分野におけるグリースへの各種ニーズと技術対応・・・ニッペコ 西村 寛 氏 に聞く

◇自動車技術会賞に見るbmt関連技術・・・編集部

◇【特集内コラム】賞を頂いた機会に企業生活を振り返って・・・トヨタ自動車 菊池 隆司

特集2:工作機械

◇MECT2023に見る工作機械関連bmt技術・・・編集部

◇ローラースクリューを用いた電動アクチュエータと超薄型ボールベアリングの加工分野における適用・・・木村洋行 足立 健太 氏、北澤 潤 氏に聞く

◇さび・白残りトラブルを低減し、生産性向上に寄与する水置換長期防錆油の開発・・・出光興産 田巻 匡基

◇SRVを利用した金属加工油・クーラントに適したトライボ特性スクリーニングの新たなソリューション・・・Optimol Instruments Prueftechnik GmbH Ameneh Schneider、Felix Zak、訳:パーカー熱処理工業 佐藤 雅之

連載

注目技術:人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMAに見るbmt関連技術

あるコスモポリタンの区区之心 第14回 思考停止と無縁なフランスの哲学授業・・・紺野 大介

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admin

BASF、中国・湛江の統合生産拠点で合成ガスプラントの建設に着工

7ヶ月 1週 ago
BASF、中国・湛江の統合生産拠点で合成ガスプラントの建設に着工kat 2023年09日21日(木) in

 BASFは、中国・湛江のフェアブント(統合生産拠点)で合成ガスプラントの建設を開始した。フェアブント拠点に完全に統合される世界的規模の合成ガスプラントは、2025年の稼働開始を予定している。BASFは合成ガスプラントにおいて独自のプロセスコンセプトを採用、従来の合成ガスプラントよりもCO2排出量を削減することで、同社のサステナビリティ目標達成に貢献していく。

BASF湛江フェアブント・プラント建設開始式典の様子

 

 この最先端の設備では同社の生産フェアブントで使用される合成ガスと水素が製造される。合成ガスプラントで採用される製造技術は、主にエチレンオキサイドプロセスの副産物であるCO2オフガスや、スチームクラッカーの稼働による余剰燃料ガスを利用して合成ガスを製造するもの。

 BASFアジア太平洋地域の石油化学品事業本部のシニアバイスプレジデントである ビア・ダーバー・メータ氏は「合成ガスプラントの技術的コンセプトは中国初となるもので、2050年までにクライメート・ニュートラル(気候中立)を達成するという当社のコミットメントを明確に示すもの。他の技術と比較すると、これらの革新的なプロセス技術は湛江フェアブント拠点の直接的なCO2排出量を削減し、特に当社のオキソおよびエチレンオキサイド製品のカーボンフットプリントを低減するのに役立つ」と述べている。

 合成ガスプラントでは上記以外の原料も使用できるため、より安定した生産を実現。2025年までには、再生可能エネルギーを100%利用する電力が供給される予定としている。

 BASFの湛江フェアブント拠点は同社にとって最大の投資となり、完成時には最高100億 ユーロに達する見込み。この拠点はBASFの単独責任で運営され、ドイツのルートヴィッヒスハーフェン、ベルギーのアントワープに次ぐ、世界第3位のフェアブント拠点となる。

kat

NTN、水素ステーションの低コスト化・高度化基盤技術開発プロジェクトがNEDO 公募事業に採択

7ヶ月 1週 ago
NTN、水素ステーションの低コスト化・高度化基盤技術開発プロジェクトがNEDO 公募事業に採択kat 2023年09日15日(金) in

 NTNは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業」において、九州大学などの法人・機関とともに「水素ステーションの低コスト化・高度化基盤技術開発プロジェクトを提案し、このほど開発テーマとして採択された。同社の水素環境におけるトライボロジー技術やノウハウを活用し、水素インフラ整備の進展や次世代エネルギーの普及に貢献していく。

 本プロジェクトでは、同社を含む計11 の法人・機関が連携し、水素ステーションを構成する各種高圧水素機器やホースなど各種部材の高信頼性化、長寿命化による低コスト化、今後想定される水素の大流量化などについて基盤となる研究開発を推進する。

 同社は、本プロジェクトにおいて、高圧水素ガス圧縮機に使用される樹脂製ピストンリングの耐久性・信頼性向上にあたり、長年にわたりエンジニアリングプラスチック製しゅう動部品の開発、製造、販売を通じて培ってきた樹脂材料のトライボロジー技術を活用し、研究開発の推進に貢献していく。

 同社は、省エネルギーに貢献するベアリング技術を幅広い分野で活用し、持続可能な「なめらかな社会」の実現を目指している。新領域として取り組む水素分野においては、水素起因の早期破損を防止する新たな転がり軸受の開発に取り組むとともに、水素関連機器向けのエンジニアリングプラスチック製しゅう動部品の販売拡大に注力している。

 同社では本プロジェクトへの参画を通じて、水素インフラ整備の進展と次世代エネルギーの普及に貢献するとともに、同社の水素関連事業の取り組みを加速していく。

kat